男性の育児が社会を変える? 札幌の夫婦2組からヒント探る <デジタル発>

キッチンで子どもたちと一緒に料理をする板倉圭吾さん(中央)=井上浩明撮影

「男性も育児をするのが当然」と言われるようになりました。でも実際は、男性の育児時間は女性を大幅に下回るなど、子育ての負担は女性に偏っています。少子化の一因ともされる、この男女格差をなくし、共に子どもを育てる社会をつくるにはどうしたらいいのか。札幌の2組の夫婦と専門家を取材し、ヒントを探りました。(くらし報道部 石橋治佳)

「味見してみるか」。札幌市中央区の税理士板倉圭吾さん(47)は自宅のキッチンで、中学3年の長男(15)と小学6年の長女(11)と夕食を作っていた。

2015年に公務員を辞め、税理士へ転職し、現在は自宅に事務所を構える。司法書士として市内の事務所で働く妻千春さん(47)と、育児と家事を分担する。「性別に関係なく、やれることをやるのが板倉家」と話す。

ただ公務員時代は家事をほとんどしなかった。当時、同じく公務員だった千春さんと共働きだったが、「妻の負担が100で、自分は0だった」と振り返る。

長男の誕生、意識に変化

意識が変わったのは、長男が生まれた直後の09年。長男の病気が分かり、急きょ約3週間、育休を取得した。病気は手術で治るものだったが、妻の負担を少しでも軽くしたいと考えた。夜中に泣いた時は起きた方がミルクをあげるなどルールを決めて、協力して世話をした。「育児が自分事になって、自分ができることがあると思えた」

12年に長女が生まれ、生後8カ月で千春さんが職場復帰したのに合わせ、2度目の育児休業を取り、約1年5カ月休んだ。家族との時間を大切にするため、転勤のない仕事をしたいと考え、育休中、税理士の資格取得の勉強もしていた。

その頃の板倉さんについて、千春さんは「家族のために栄養バランスを考え、料理がどんどん上手になった」とし、家事育児の負担が偏りなく「フラットになった」と話す。

板倉さんは職場復帰後、1年ほどで税理士に転身。その後、千春さんも公務員を退職し、司法書士になった。

イクメンをサポート

税理士の板倉さんが仕事で掲げるのは「イクメンとワーキングマザーをサポートする」。顧問契約する企業の経営者に対し、育児中の職員への配慮を助言したり、在宅勤務の環境を提案したりする。「楽しそうに育児する男性が増えてほしい」と板倉さんは話す。

札幌市東区の会社員加茂政春さん(30)と、喫茶店で働く妻の凪彩(なぎさ)さん(29)は時にぶつかりながらも話し合うことで、「互いにできることをやる」という育児スタイルをつくってきた。

mamatalkメンバーのIDとパスワードが
そのままご利用いただけます。
mamatalkメンバーについて詳しくはこちら

この記事に関連するタグ

Area

北海道外

その他