妊娠線・むくみ・足のつり・腰痛…妊娠中のマイナートラブル、詳しい症状と対処法は?

写真はイメージ(Ushico / PIXTA)

妊娠中は、ホルモンの変化や子宮が大きくなること、体重増加が要因で生じるさまざまなマイナートラブルに悩まされます。症状や対処法について、北海道助産師会会長で助産院エ・ク・ボ(札幌)院長の高室典子さんに聞きました。

保湿で妊娠線予防、腰痛に骨盤ベルト

高室さんは、主なトラブルとして、つわり、頭痛、貧血、便秘、虫歯、むくみなどを挙げます。

妊娠中の主なマイナートラブルと対応方法

おなかが大きくなることでみられる症状の中で、おなかに筋状の皮膚割れ「妊娠線」ができることを、多くの人が心配します。肌が乾燥するとできやすいといい、高室さんは「妊娠が分かった時、おなかが大きくなる前からおなかの保湿をしていき、皮膚を柔らかくしていくといいです」と、予防策を助言します。

保湿には、クリームなどを500円玉大くらい出して塗り込むと良く「産まれるまで続けましょう。おなかが大きくなっていくと下側は見えづらくなくなりますが、妊娠線ができやすいところなので、下の方にもしっかり塗ってください」と話します。妊娠中は乳房も大きくなり、妊娠線が出たり、皮膚が荒れたりすることがあります。乾燥を防ぐためには、保湿に加えて水分を取ることもおすすめです。

妊娠中は、口の中の環境が変わって虫歯になりやすいといいます。ただつわりで歯磨きができなくなる人もいるので、高室さんは「無理はせず、いつも歯を清潔に保つように、うがいで口をゆすぐことが大事です」と勧めます。虫歯がある場合には、早めの治療が望ましいといいます。

子宮が大きくなると血管が圧迫されて血行不良になり、足がむくんだり、静脈瘤(りゅう)ができたりする人がいます。妊娠後期は、足がつりやすくなります。マッサージや、医療用などの弾性ストッキングを着用することで改善につながります。

腰痛に悩む人も多いです。おなかが大きくなると背中が反ってきて、腰の筋肉に負担がかかります。このため腰の痛みや背中の張りを抱える人が多いです。さらに妊娠中には関節を柔らかくするホルモン「リラキシン」が増えて、普通は固定されている骨盤が緩んで腰痛の原因になります。

腰痛対策のために使う骨盤用のベルト(手前右と左)と腹帯(奥)=中村祐子撮影

腰痛対策のために使う骨盤用のベルト(手前右と左)と腹帯(奥)=中村祐子撮影

予防には、骨盤用のベルトや「腹帯」などで固定すると効果的です。高室さんは「大腿骨(だいたいこつ)の根っこのところ、恥骨の上ぐらいをしっかり止めるということが重要」と話します。ただ、おなかが大きくなると固定すべき位置が変わり、状況に合わせてベルトなどを使い分けます。使い方が難しいと感じる人も多いといいます。分からないときは遠慮せず、助産師に聞いてみましょう。

同じ姿勢でいないことも、腰痛の対策になります。おなかが大きい中で座りっぱなし、立ちっぱなしの姿勢を維持すると、さまざまな負担がかかります。パソコンでの作業で前かがみになると、おなかが張ることもあります。30分ほど座った後は少し動く、立っていた場合は少し座るといいです。

「マイナートラブルには個人差があり、いろいろな症状があります」と高室さん。よく知られているつわりも、全くない人もいれば、重く点滴が必要になる人もいます。「トラブルへの対処を知って、楽しいマタニティーライフを過ごせたらいいですね」と話しています。

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取材・文/石橋治佳(北海道新聞記者)

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