産後ケア、空知の全自治体で開始 育児相談、授乳指導 病院宿泊も
産後まもない母子を対象に授乳指導や育児相談などを行う「産後ケア事業」が、空知管内の自治体で広がっている。空知総合振興局によると、産後ケアを実施する自治体は管内24市町のうち20年度は11だったが、その後急増し、今夏までに全24自治体で事業が始まった。暮らす地域に関係なく産後のケアを受けられる環境が整った。
移動負担、周知不足課題
核家族化が進む中、産後ケアは周囲の手助けを得られない母親らが孤立しないようにするのが目的で、心身の不調の改善や虐待予防効果があるとされている。法改正で2021年度から自治体の努力義務となり、国は24年度末までに全国展開を目指している。
管内で産後ケア事業を実施する自治体は、20年度に11、21年度に14、22年度に13だったが、23年度に急増し、8月までに全24自治体が実施し始めた。中空知のほとんどの自治体が本年度から砂川市立病院に委託する形で始めたためだ。
滝川市では、砂川市立病院で出産していなくても、生後4カ月までは同病院での宿泊を計4泊5日まで、1歳までは同病院への通所による育児相談や授乳指導を4回まで利用できる。宿泊は1泊2日3食付きで千円。授乳やおむつ替えなどを病院の助産師らが行い、母親はまとまった睡眠がとれる。食事づくりに追われることもない。通所は1回500円。滝川市保健センターの担当者は「特に宿泊は母親に休息してほしい意味合いもある。周知に力を入れていきたい」と話す。
19年度から実施している岩見沢市では、岩見沢市立総合病院で授乳指導などを受ける「デイケア型」と、助産師らに自宅を訪問してもらう「訪問型」があり、いずれも1時間程度。利用料金はデイケアが1回500円、訪問型が1回千円で、利用は1回の出産につき4回まで。毎年10人前後の利用があるという。
産後ケア事業の料金や回数は自治体によって異なり、芦別市は宿泊は7泊8日まで、通所は3回までとし、全て無料とするなど、地域差があるのも現状だ。また、地域に産後ケアを担う医療機関や助産院がない場合は、近隣まで自家用車などで移動する必要があり、ある自治体担当者は「移動の負担はあるが、地域に施設がない以上、方法がない」と話している。周知不足も課題で、各自治体は「母子手帳の交付時や新生児の自宅訪問の際に周知していく」としている。(高木緑)
この記事に関連するタグ
What’s New
- 妊娠・出産
- ALL
Editor's pick up
Ranking
- すべて
- 妊娠・出産