借りた本を記録「読書通帳」10年 子どもたちの意欲向上 美瑛町図書館

借りた本の記録を銀行の預金通帳のように印字する読書通帳
【美瑛】美瑛町図書館が利用者が借りた本を預金通帳のように記録できる「読書通帳」を道内で初めて導入して、今年で10年となった。2018年度からは通帳1冊(貸し出し216冊分)を埋めた14歳以下の子どもに本を贈る事業を導入。贈呈の対象となる子どもたちの数は18年度の約70人から増加傾向で、本年度も100人近くに達する見通しだ。同図書館は「読書意欲の向上につながっている」と手応えを得ている。
1冊埋めると本寄贈
通帳には館内のATMのような機械で、借りた本のタイトルや貸出日を記録できる。作れるのは町民か町内への通勤、通学者。14年8月に導入し、今年10月24日までに1777人に2727冊が発行された。
子どもたちの読書の習慣化が大きな狙い。1冊300円の手数料がかかるが、高校生以下は無料にしている。15年からは小学校に入学した児童全員に配布。現在通帳を持つ14歳以下の子どもたちは822人に上る。
14歳以下には通帳を使い切るごとに、図書館員が毎年年代別に選書する10冊の本から1冊を贈呈。未就学児は絵本、中学生は小説など、成長に合わせた本を取りそろえる。贈呈制度を導入した18年度、通帳が2冊目以降に突入する子どもの数は年間73人だったが、ここ数年は100人前後で推移し、本年度も10月24日までの半年あまりで54人に達している。
美瑛小2年の工藤蒼(あおい)さん(7)は、0歳のときから通帳を利用。1週間に5~10冊ほど絵本や小説などを借り、今使っているのは6冊目だ。「1冊埋まると、2冊目も頑張るぞという気持ちになる」と目を輝かせる。
全国の自治体図書館から視察や問い合わせが来ることもあり、読書通帳の取り組みは現在、道内で美瑛を含め3カ所で取り入れられている。
同館の山上修司館長は通帳を積極的に利用している子どもが固定化していることが課題といい「より幅広い子どもたちの読書嗜好に対応できるよう、本のジャンルを増やしていきたい」と話している。
取材・文/菅沢由佳子(北海道新聞記者)
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