縫わない編まない手作りマフラー「モフリー」 道内でも体験教室好評

モフリーに使用されるフリース。兵庫県内の障害者の就労支援施設が製造している(植村さん提供)
好きな色や柄のフリース素材をつなげて作る神戸発祥のマフラー「モフリー」が、注目されています。縫ったり編んだりしないため、世代を問わず手軽に物作りできるのが特徴。道内でも親子向けのワークショップが好評で、講師も増えています。
モフリーは、20~30種類の柄や色が違う20センチほどの楕円(だえん)形に切られた専用のフリースから、自由に8~16枚選んで作ります。フリースには穴が空いていて、穴に別のフリースを通してつなぎ合わせ、またその穴に別のフリースを通します。これを繰り返し、最後は専用の生地で留めて、1本のマフラーに仕上げます。針や糸は使いません。
鮮やかな色を組み合わせたり、単色や一つの柄でまとめたり、それぞれの感性が光ります。「手作りのマフラーというとハードルが高く感じると思いますが、モフリーは短い時間で簡単に作れます」。昨冬から、札幌などでモフリーのワークショップを開く林絵理子さん(44)=札幌市中央区=は笑顔で話します。

札幌で活動するモフリーのアンバサダー林さん
発祥は神戸 インスタで広がる
考案したのは、米国在住の植村千夏さん(52)です。夫の転勤で米国と神戸市を数年ごとに行き来していて、15年ほど前に家族で住んだミネソタ州では、子どもの誕生日会が子ども同士の交流の場となっていました。
2011年12月、長女の11歳の誕生日会で招待した子どもたちと物作りを楽しみたいと考えたのが、モフリーの原点でした。ミネソタ州では冬にフリースのブランケットを縫わないで手作りしていた人が多く、そこからヒントを得たといいます。
神戸に戻ってから友人らに頼まれてワークショップをするようになり、「モフモフしたフリースのマフラー」という意味で「モフリー」と名付けました。18年に実用新案、19年に商標をそれぞれ登録。「色を覚えた2歳ごろからパーツ選びを楽しめ、3歳ごろからは親と一緒に自分で作ることができる。5、6歳ぐらいになると全て作れる子もいる」と魅力を話します。
「物作りを楽しむ人口を増やしたい」と、19年からワークショップを開く人材「アンバサダー」を育成。インスタグラムなどで広がり、全国に約50人がいます。道内は3人で、ワークショップは1回2500~4千円程度で開かれています。

昨年11月に札幌で開催したワークショップ(林さん提供)
作る喜び 子どもも大人も
アンバサダー2年目の林さんは、札幌で0~6歳向けの音楽教室を開いています。教室のイベントで取り組む物作りを探していて、インスタグラムでモフリーを知りました。「自分で色や柄の組み合わせを決めて簡単にでき、子どもたちが自分で作った達成感を持てる」と話します。
昨年は福島市内に住みながら札幌に通い、モフリーのワークショップを福島で6回、札幌で2回開催しました。70代の女性らにも教え「力が必要なく、幅広い世代の人が楽しめる」と実感しました。今冬はさらに札幌での開催を増やす予定で「いろいろな世代の人に体験してほしい」と話しています。子どもたちに、教える喜びを味わってもらうため、モフリーを作ったことがある子にサポート役「キッズアンバサダー」として参加してもらうワークショップも開く予定です。
20年からアンバサダーとして活動する美唄市の多地ひろみさん(47)は、空知管内を中心にワークショップを開いてきました。「単純作業を繰り返す中で、わいわいして、おしゃべりしながらやると楽しい」と語っています。

多地さんが開いたワークショップで参加者が手作りしたモフリー(多地さん提供)
モフリーは首に巻くと温かく軽いです。洗濯もしやすく、使い心地の良さも人気だといいます。「着けた感覚が無いくらい軽いので肩が凝らない。夫へのプレゼント用に作る人もいます。道内各地で開催したい」と意気込んでいます。
◇
ワークショップの問い合わせは林さんfamfunmusictogether@gmail.com、多地さんrayoci77@yahoo.co.jpへ。
取材・文/石橋治佳(北海道新聞記者)
この記事に関連するタグ
What’s New
- 子育て・教育
- ALL
Editor's pick up
Ranking
- すべて
- 子育て・教育