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安くて軽く、機能的 小樽でノウハウ半世紀 バッグのムラタの通学用カバン「ナップランド」

小樽市内の「バッグのムラタ」本店でナップランドを手にする、村田商事の村田達哉会長

小樽市の老舗カバン店「バッグのムラタ」が手がける児童向け通学用カバン「ナップランド」が、道外への販路を着実に広げている。半世紀余り前に「高価で重たいランドセルの代わりに」と開発し、少子化が進む中でも保護者や子どものニーズを反映して改良を重ねてきた。小売り大手による低価格商品との「ラン活」を巡る競争は激しい。それでも雪国で培ったブランド力とこだわりの価格、軽さ、機能性を武器に、販売数の上積みをうかがう。

校長からの相談

「坂道の多い小樽の子どものため、軽い通学カバンがあれば」。1970年ごろ、市内のある小学校の校長から寄せられた相談が、商品誕生のきっかけだ。

ムラタを運営する村田商事(小樽)の村田達哉会長(72)らが、ナップサックとランドセルの特徴を採り入れたナイロンのカバンを考案。約3千円で売り出すと、この小学校の保護者に好評だった。村田会長は「ランドセルの価格が高くて手を出しにくい家庭もあった。そんな世相も反映していた」と振り返る。

74年、小樽で販路を広めようとムラタを含む市内のカバン小売り5社で組合を結成。校内販売も奏功し、市内の新入学児の7割ほどが使うことになった。80年代中盤までは組合で仕入れた共通の商品を扱っていたが、現在はムラタと「バッグのアカイシ」の2社が、それぞれデザインや仕様の違う製品を販売している。

ムラタは、カバン製造販売大手のエース(大阪)に製造を委託し、防水性と発色に優れた特注のナイロン生地を使う。原材料高に苦労しつつ、3~4年ごとに改良し、今も8800円で販売。発売当初はリュックサックに似たデザインだったが、今はランドセルに近い。タブレット端末の導入などで子どもの荷物が増えたためサイズを大型化。それでも重量は一般的なランドセル(千~1500グラムほど)より軽い約850グラムに抑えている。

4割ネット通販

発売当初は紺と赤の2色展開だった。現在は黒やピンクといった単色に加え「ネイビー×赤」などを含めて13パターン。今も小樽の新入学児の6割ほどがナップランドで登校する。

ただ、少子化は同社にとっても悩みの種だ。20年余り前、「外に活路を見いだすしかない」(村田会長)としてインターネット通販に乗り出した。口コミもあって、現在は年間に販売する約800個の4割がネット通販。東京や大阪など道外からの注文が中心という。

村田会長は9月末、長男の憲昭さん(42)に社長職を譲った。ランドセル販売には、家具・インテリア製造小売り最大手のニトリホールディングスや作業服大手ワークマンも本腰を入れている。「自分も小学校6年間ナップランドを使い、思い入れがある。全国の人に知ってもらい、販売を続けていきたい」と語る憲昭さんは、ネット広告やSNSを活用した知名度向上などを検討。ナップランドのノウハウを生かし、高齢者向けの商品を実現できないかも探っている。

取材・文/岸恒介(北海道新聞記者)

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