室蘭「スクール児童館」登録数最多 共働き家庭増加、全児童の3割に 体制追いつかず苦慮も

天神小の多目的ホールに集まって遊ぶスクール児童館の子どもたち
小学生が放課後や長期休暇中に通う室蘭市独自の学童保育施設「スクール児童館」の利用者が増えている。登録児童数は前年比12%増の1262人(8月末時点)と最多となり、室蘭の全児童の約3割になった。共働き家庭が増えているのが要因だが、施設側は増え続ける児童に対して体制が追いつかず、苦慮している。
異学年交流に広がり 個々に合う指導苦慮
市は児童数の減少から、2020年度に市内にあるすべての児童館と学童保育を「スクール児童館」に移行した。同館は、事前登録が不要で、だれでも好きなときに遊びに行ける児童館と、学童保育指導員らがいて子どもの生活や遊びをサポートする登録制の学童保育をあわせもつ。
施設は、喜門岱小を除く市内8小学校に整備され、放課後に集まった児童が支援員の指導で宿題をしたり、思い思いに遊んだりしている。
児童数が増えている要因として、市は子どもだけで放課後の時間を過ごすことに不安を感じる共働き家庭が増えているためだとみる。
天神小にある天神スクール児童館の登録児童数は8月末時点で160人。平日は60~100人、夏休み中も1日60~80人の利用があり、本年度から使用する教室を増やした。みなと小、海陽小も同様の対応をとった。
登録児童が増えて、子どもたちは鬼ごっこやミニバレー、おままごとなど複数の遊びを通して自然に異学年交流が広がっているという。同児童館に通う佐藤葵さん(5年)は「人数が多く、1人で来ても必ず誰かと遊べるから楽しい」。沼沢望杏(のあ)さん(5年)は「学校ではふだん、関わりが少ない他の学年の友達もたくさんできた」と喜ぶ。
だが、運営側には新たな悩みが出てきた。同館の野口理恵子館長(69)は「さまざまな困難や課題を抱える児童が増え、目が離せない場面が出てきた。個々に合った指導に苦慮することがある」と語る。
同館の支援員は12人。経験10年以上の支援員が半数いる。国の基準では、児童40人以下を1単位として支援員を2名以上配置し、以降20人ごとに支援員1人の増員(障害児童の人数により別途配置基準あり)などと定める。同館は基準通りの配置だが、障害のある子が多い施設では、「より多くの支援員を配置できるようになれば」(野口館長)と求める。
市は4月、運営効率化などを狙いに、QRコードによる児童の入退室管理などを導入。市子育て支援課の船橋晶主幹は「安定した運営ができるよう、市も必要に応じて支援していきたい」と語る。
取材・文/村上真緒(北海道新聞記者)
この記事に関連するタグ
What’s New
- ニュース
- ALL
Editor's pick up
Ranking
- すべて
- ニュース