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高齢者、妊婦対象 RSワクチン続々 1回接種で2~3年持続、赤ちゃんにも効果

写真はイメージ

乳幼児に重篤な呼吸器感染症を起こすRSウイルスは、あまり知られていないが、大人になっても罹患(りかん)する。風邪と同じ症状で、気づかないことも多い。専用の治療薬はなく、高齢者や基礎疾患を抱えている人が感染すると、死亡することもある。高齢者と妊婦を対象とした初のRSウイルスワクチンが今年、相次いで発売された。妊婦が接種すると生まれてくる赤ちゃんにも効果がある。

特効薬なし、重症化防ぐ手段

RSウイルスは1歳までにほぼ半数が、2歳までにほぼすべての子供が罹患し、何度も感染する。2~8日の潜伏期間を経て発熱、鼻汁、せきなどの風邪症状が出る。赤ちゃんの場合は、風邪症状に加え、せきがひどくなり、喘鳴(ぜんめい)(呼吸時にヒューヒュー、ゼーゼーなどと音がする)、呼吸困難などの症状が出て、気管支炎や肺炎になることもある。大人や年長児は発熱、鼻水などの上気道症状で済む。

一方、高齢者やぜんそく、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)、心疾患、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)など慢性の基礎疾患がある人、免疫機能が低下している人は、肺炎などを起こし、重症化しやすい。同じく重症化しやすい赤ちゃんの致死率は0.1%未満だが、高齢者は15%との報告もある。国内では年間6万3千人が入院し、4500人が死亡しているとみられている。

RSウイルスの感染ルートと予防法

これまで早産児や、生まれつき呼吸器・心臓に疾患がある、免疫不全、ダウン症候群の赤ちゃんは、保険適用された感染予防のための注射(抗体製剤)があったが、高齢者や妊婦にはなかった。

1月から新たに接種可能となったのがRSウイルスワクチン「アレックスビー筋注用」だ。60歳以上を対象としたもので、臨床試験では下気道疾患に対する有効性は82.6%、併存疾患を有する人の有効性は94.6%。

日本小児科学会小児科専門医・指導医で、NTT東日本札幌病院(札幌市中央区)の森俊彦医師は「インフルエンザやコロナは特効薬(抗ウイルス薬)があるが、RSウイルスには専用の薬がなく、対症療法をするしかない。感染で基礎疾患が悪化することもあり、そういう面で新ワクチンの誕生は画期的」と指摘する。

5月に発売されたRSウイルスワクチン「アブリスボ筋注用」は、60歳以上に加え、妊婦も対象とする。母子免疫を目的とした初のワクチンで、妊婦は妊娠28~36週に接種すると望ましいとされている。

森俊彦医師

森俊彦医師

森医師は「どちらのワクチンの効果も同じ。接種後、2週間で効果が出る。1回の接種で2~3年、有効となる。赤ちゃんは罹患すると生後半年未満で重症化するとされているが、ワクチンはその期間に効果がある」と語る。

RSウイルスに感染したかどうか調べる検査は大人では保険外のため、一般に調べない医療機関が多い。森医師は「有効な治療法がない中で、ワクチン接種のみが高齢者を守る手段」と話す。

いずれのワクチンも保険適用外で、医療機関により接種費用が変わる。NTT病院の場合、アレックスビー筋注用が2万6400円、アブリスボ筋注用が3万3千円。接種を希望する人は、事前に医療機関に問い合わせした方がいい。道内では後志管内神恵内村と留萌管内小平町で、住民を対象に費用の一部を助成している。

取材・文/荻野貴生(北海道新聞くらし報道部編集委員)

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