【助産師監修】出産に向けて体力づくり 妊娠中にできるおすすめの運動

写真はイメージ(zak / PIXTA)
妊娠中、適切な食事と運動による体づくりが大切です。胎児の成長に必要であるほか、陣痛が始まってから出産までは12~24時間ほどかかり、乗り切るための体力が必要になります。妊娠中に取り組んでほしい運動を、北海道助産師会会長で助産院エ・ク・ボ(札幌)院長の高室典子さんに聞きました。
自宅で体操、腕振りウォーキング有効
マラソンに匹敵
規則的な陣痛が始まってから出産までは、初産婦で24時間ほど、経産婦で12時間ほどかかるといいます。高室さんは「乗り切るには山を登るぐらいか、フルマラソンを走り切るような体力が必要です」と話します。
ただ激しいスポーツや人とぶつかるような運動は、妊娠中は危険を伴います。「取り入れたい運動、体力づくりへの一番のおすすめは、ウォーキング。ただ歩くだけでは、あまり体力はつきません。しっかり腕を振って歩くことで有酸素運動になります」と強調します。雪が積もったり、地面が凍ったりして転びやすい冬は、商業施設、札幌市内であれば札幌駅前通地下歩行空間などを歩いて体を動かすことを勧めます。
ほかに妊娠中にできる運動には、水の中で動くアクアビクス、ストレッチやヨガなどがあります。「ゆったりとした動きで筋力をつけるフラダンスもお勧めです」。ただおなかが張る、出血がある、体調不良などの時や切迫流産・早産の人は運動はやめましょう。
自宅などで簡単にできる体操を教えてもらいました。
あおむけに寝て両足の膝を曲げ、左右にゆっくりと可能な範囲で倒す動きを数回繰り返すと、お腹周りの筋肉を鍛えることができます=写真①=。同じ姿勢で、片足を高く上げて左右に5回ほど動かすと、股関節も動き、足が軽くなるように感じます=写真②=。むくみがある時に、片足ずつ両足とも取り組むと効果的です。

①あおむけに寝て両足の膝を曲げ、左右に倒す

②片足を高く上げ、左右に動かす
毎日コツコツ続けて
背中や腰の筋肉を鍛える「ネコのポーズ」=写真③=は、手は肩幅に、足は少し開いて四つんばいになり、腰を上げて背中を丸め下を向きます。息を吐きながら顔を上げて背中をそらす動きを、数回繰り返します。

③四つんばいになり、背中を丸めるネコのポーズ
肩に手を当てて円を描くように肩を回すと、肩周りの血流を改善する効果があります=写真④=。腰を回す運動は、「産むのにとても力を発揮するので、後半にやってほしい」と高室さん。足を肩幅くらいに開いて手を腰に当て、円を描くように腰を大きく回し、反対回しもしましょう=写真⑤=。

肩の上に手を当てて円を描くように回す

⑤腰に手を当て、円を描くように大きく回す
高室さんは「急に何時間も運動しても筋力はつきません。1日数回、横になる体操は寝る前などに、毎日コツコツ続けましょう」と話しました。
取材・文/石橋治佳(北海道新聞記者) 撮影/中村祐子
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