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子どもの溶連菌急増 コロナ対策で抗体減少 検査キット・抗生物質不足も

すえおかこどもクリニックで溶連菌感染症の検査を受ける子ども=5月21日、札幌市清田区

すえおかこどもクリニックで溶連菌感染症の検査を受ける子ども=5月21日、札幌市清田区

主に子どもが感染し、のどの痛みや高熱などの症状が出る「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」(溶連菌感染症)の感染者が道内で急増している。道内約130カ所の指定医療機関で今年確認された感染者は5月中旬時点で1万9千人を超え、昨年1年間の人数を約5千人上回った。感染の急拡大により、医療現場では検査キットや抗生物質が不足する事態が起きており、医師らは「このままでは検査も治療もできなくなる」と危機感を募らせている。

これほどの患者は記憶にない

「当院だけでも1週間に10人以上の感染者が出ている。これほど患者が多い状況はこれまで記憶にない」。札幌市清田区の小児科医院「すえおかこどもクリニック」の末岡裕文院長(65)はそう強調する。

溶連菌は感染すると、38.0度以上の発熱や嘔吐(おうと)の症状が出るほか、髄膜炎などを併発することもある。感染症法上の危険度は季節性インフルエンザや現在の新型コロナと同じ「5類」に位置づけられている。

これまで道内で大きく流行することは少なかったが、昨年11月ごろから各地で徐々に感染が拡大。道内指定医療機関の小児科で確認された患者数は5月12日現在1万9286人で、既に昨年1年間の患者数1万4336人をしのぐ。

北海道感染症情報センターによると、指定の小児科1カ所当たりの1週間の平均患者数は今年2月、国が定める警報基準の8.0人を初めて超え、現在も同基準の前後で推移している。現行の統計方法が導入された2006年以降、最も感染者数が多かった16年の2万9502人を上回るペースで感染者は増えている。

背景にコロナ対策

溶連菌感染症の感染者が急拡大した背景は何か。専門家らは、昨年5月まで続いた政府による新型コロナの感染防止対策の存在を指摘する。対策によって子どもたちがさまざまな感染症の抗体を得る機会が減ったとみられ、今後は手足口病など別の小児感染症も流行する可能性があるという。

医師が患者の感染を確認するには専用の検査キットが必要だが、すえおかこどもクリニックでは今年に入り、医薬品メーカーに注文した数の半分ほどしか納入されない状況が続いている。検査が必要な患者は例年の2倍以上に増えており、末岡院長は「メーカー各社からキットをかき集めて何とか必要数を確保し、診療しているのが現状だ」と話す。

十勝は警報基準超え続け

十勝管内では小児科の溶連菌感染症の平均患者数が1月中旬に10.13人となって以降、約4カ月間にわたって警報基準を超え続けている。帯広市内の小児科医院「みなみ町こどもクリニック」では検査キットに加え、治療に必要な抗生物質も手に入りにくくなっているという。住谷晋院長(62)は「検査や治療は綱渡り状態」と訴える。

溶連菌感染症は一年を通じて流行することもあり、今後も感染拡大は続くとみられる。道感染症対策課は「患者数は近年の中では明らかに多く、感染状況を注視しなければならない」と警戒を強める。

札幌医科大の横田伸一教授(微生物学)は「合併症を避けるためにも、のどの痛みなど症状が出た際の早めの受診は不可欠」と指摘。抗生物質などが品薄状態となる中、これ以上の感染拡大を防ぐためにうがいや手洗いなど基本的な感染対策を徹底するよう呼び掛けている。

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