イライラしてもイヤイヤ楽しむ 札幌で「反抗」姿の写真展 撮影して俯瞰 心の余裕に

#反コレ展覧会で紹介したイヤイヤする子供たちの写真
早い子供だと1歳で始まる「イヤイヤ期」。理由が分からない時もあれば、「やりたくない」「やりたかった」「まだ遊びたい」など、さまざまな場面でイヤイヤを主張する。子供の成長過程として受け止めようと思っても、イライラしてしまう親は多いだろう。そうした子供の「反抗」姿を撮った写真を共有し、楽しもうと伝えている「#反コレ展覧会」(実行委員会主催)が11月、札幌市で開かれた。イヤイヤを見守り、楽しむヒントとは―。
寝っ転がったり大泣きしたり、イヤイヤを主張する子供の写真約30点が11月17~19日、札幌文化芸術交流センターに並んだ。イヤイヤ期は第1次反抗期とも呼ばれ「反コレ」は「反抗期コレクション」の略称だ。
―入浴時にお気に入りの服を脱ぎたくなくてイヤイヤ発動。服を着たまま髪を洗い何とか着替えさせた(1歳11カ月)
―書店の塗り絵コーナーで熱中していた塗り絵を終わらせようとすると、イヤイヤ爆発。抱っこをしようとしてもクルクル回転して上手に脱走(2歳)
―出かけようとしたが娘が車で寝てしまったので引き返した。気がついたら家に帰っていたので、大泣き。そんなに泣くか!?というほどの号泣。10分くらい泣いて落ち着いた(4歳)
撮影時のエピソードからは、親の苦労がうかがえる。イヤイヤ期は受け身の乳児期から成長し、自我が芽生える時期。脳の欲求を抑える部分は未発達で、成長は緩やかだ。会場には子供の成長への第一歩であることや、育児で大切にしてほしいこと=表=を紹介する解説パネルも並んだ。
写真は展覧会のために市民らから募り、主に1~4歳の子を持つ母親らから寄せられた。2歳の娘の写真を応募した札幌市の会社員田畑愛梨さん(28)は、17日に来場し「数カ月前の写真だが、子供なりに頑張っている時期だと理解した。他の子の写真を見て、いろいろなイヤイヤがあると今後の心構えもできた」と見入っていた。
展覧会は2016年から開催。実行委代表の松本直子さん(43)=札幌市=が、娘(10)のイヤイヤ期に悩んだことがきっかけだ。親同士が悩みや子供へのイライラを共有する場でもあり、松本さんは「写真を撮ることでイヤイヤを俯瞰(ふかん)して見ることができ、心の余裕につながる。成長過程であるイヤイヤ期を一緒に楽しみ見守れたらと思う。思春期にもつながる」と話す。
イヤイヤを見守るとは、どういうことだろうか。実行委員会に親の心得などを助言している、一般社団法人ぴんぽんはーと(江別市)代表理事の魚岸あや子さんは「『イヤだね』などと寄り添う、イヤイヤを全うさせてあげると、子供は気持ちを切り替えることができたり心が満足したりする」と指摘。子供が「イヤ」と言い続けるなど収まらないこともあるが、「寄り添ってもらった子供は『イヤ』と言いながらも満たされた表情をしています」と話す。
実行委員会は近年、親のイライラのケアに力を入れる。以前は対処方法を伝えていたが、「インスタグラム」などの交流サイト普及で知識は広まっている。一方で実践したのにうまくいかず子供にイライラする―などの悩みが目立つ。
松本さんは「受け止める余裕がない時もあるし、親はイライラするものだと思う」と話す。親がイライラした時は、感情を冷静に言葉で子供に伝えると良いという。魚岸さんは「カッとなって怒ってしまったら、気持ちが落ち着いた時に謝りましょう。失敗しても良い。向き合うことで絆は深まり、親も子も一緒に成長できる」とアドバイスする。
◇
実行委員会のインスタグラム(@kodomo.no.mikata2016)では、イヤイヤ期などに関する情報を随時紹介している。松本さんは「外出先でのイヤイヤも多いので、幅広い世代に知ってもらえれば」と願う。(石橋治佳)
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