不登校支援「サポートベース函館」開設7カ月 高い自由度で保護者好感

南北海道教育センター内にある「サポートベース函館」の図書コーナー
函館市教委は本年度、不登校の小中学生を支える教育機会提供の場を学校以外に広げている。今年4月に南北海道教育センター(湯川町)に設置された学習拠点「サポートベース函館」では、子どもたちが学習、工作、読書など、その日にやることを自ら選んで決め、集中して過ごしている。「自由度が高く、子どもが明るく楽しそうにしている」と保護者からも好評で、利用者は開設から7カ月で5倍に増えた。指導員らは「子どもたちが毎日充実できるよう環境を整えたい」と語る。
平日の午前10時、同センターにある教室で「朝の会」が開かれる。約10人の子どもたちがその日の予定を自分で組み立て、日程表に書き込む。午後2時まで数学や国語など学習の予定を組む子どもがいれば、午前中は読書、午後は学習をする子どもや、一日ずっと木製品の工作に打ち込む子どももいる。
保護者の50代女性は、中学2年の子どもが不登校になって人と会うことを恐れていたが、サポートベースに通うようになり、「見学に来た子どもに優しく声をかける姿を見て成長を感じた」という。女性は「やらされるのではなく好きなことを選んでできることが子どもの安心感につながっているようです」と話す。
利用者は5倍に
開設当初5人だった利用者は、11月1日時点で小学生4人、中学生22人の計26人に増えた。《1》子どもたちの自由度が高い《2》通所の頻度は自己判断《3》普通教室や木工室、理科室など同センターにある計六つの教室を自由に行き来できる《4》月1回、野鳥観察や遠足で外出する機会があるが参加しなくてもいい―などと比較的自由に過ごすことができるのが特徴だ。
市教委は昨年度まで、不登校の子どもの学校への復帰を目標に、同センターに小中学生対象の学校適応指導教室「やすらぎ学級」を設置していた。同学級は普通教室しか使えず、一定の時間を机に向かって勉強することが求められ、外出時は集団行動だった。
文部科学省が2019年、不登校支援について「登校のみを目標とせず、児童生徒の社会的な自立を目指すべきだ」としたことに対応して、市教委は本年度、通所日数を登校日数として認めるサポートベースを新設したほか、市内5中学校の空き教室には「校内フリースクール」として支援員を配置した。
職員拡充を検討
サポートベースのスタッフは、元教員の指導員2人と特別支援教育支援員1人の計3人。当初4人体制を想定していたが、1人欠員が生じた。一方、函館市の不登校の児童・生徒数は昨年度、過去最多の502人となり、今後サポートベースの利用者の増加が見込まれる。また、エアコン設置など学習環境の整備を求める保護者の声もあり、市教委は「職員の拡充を含め適切な学習環境の提供に向けて検討していきたい」としている。
指導員の後藤慎一さんは「サポートベースに何回か通ってから学校に復帰した子どもも何人かいる。支援が必要な子に対応するスキルを上げたい」と話す。指導員の大地みちるさんは「自分の興味のあることに集中する時間を持てることで自信を取り戻す子どもがいる。多様なニーズに丁寧に応じていきたい」と話している。(宮木友美子)
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