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札幌の保育所、障害児受け入れ進まず 保護者、改善訴え

ダウン症児の食事を手助けする保育士=札幌市のひばりが丘明星幼稚園

札幌市が認可保育所や認定こども園など市内546の保育施設に義務づけている障害児の受け入れが進んでいない。10月1日時点の受け入れ施設は半分以下の203カ所にとどまり、入所を断られる例が相次ぐ。市は保育士不足を理由に挙げるが、保護者からは実態把握や受け入れ態勢の拡充を求める声が出ている。

拡充を要望

「他の子より発達が遅いと、集団生活ができないから預かれない」「ダウン症児の保育経験がない」

市内の介護職員平田ゆかりさん(40)はダウン症の次男亘(わたる)ちゃん(1)の保育所探しで施設からこう言われた。8施設に見学を打診し、4施設はそれさえも断られた。保育所を確保し仕事を再開できたのは希望より半年遅い今年5月だった。

同じダウン症の子供がいる保護者も「保育士不足」「健常児しか預かれない」と入所を断られていた。そこで平田さんはダウン症児の保護者有志会の代表として5月と8月、受け入れ態勢の拡充を市に要望した。

市はかつて障害児の受け入れを公立保育所などに限っていた。しかし他の児童と集団保育することで障害児の成長を促そうと、1996年度から全ての認可保育所、2015年度からは認定こども園などでも受け入れを義務化した。正当な理由がなければ拒めないと市障がい児保育事業実施要綱に明記している。

実態調査を

市は障害児の受け入れ施設に対し、障害の程度によって1人当たり月額約7万~9万円を補助し、配置基準を超える保育士の雇用などを支援する。それでも受け入れは進まない。市は人手不足を理由に「安全に保育できないと判断し、断る場合もある」(子育て支援部)と説明し、市内の保育所関係者は「障害児を受け入れるには保育士を増やさなければいけない。採用の手間や不確実性を考えるとためらう」と明かす。

市内の出生数は15年度の1万4708人から22年度は1万1046人と25%減ったのに対し、障害児保育人数は同期間で327人から501人と逆に1.5倍に増えた。共働きが増えて育児と仕事の両立を求める人は多く、障害児保育の需要は高まっている。

平田さんらによるダウン症児の保護者有志会は受け入れの実態調査を求めたが、市は「状況把握は困難」(子育て支援部)と調査に乗り出す構えは見えない。

札幌公共職業安定所によると求職者1人に求人が何人あるかを示す8月の月間有効求人倍率は全職種平均の0.92倍に対し保育士は2.49倍と高く、人材争奪戦が続く。市は長年勤めた保育士に19年度から一時給付金を出すが給与の低さもあり人材は足りない。

政令指定都市では横浜市が本年度、重症心身障害児らを受け入れる保育所に対し、車で障害児を送迎する保護者のための駐車場の整備費を補助し、受け入れ支援を強化した。

札幌市厚別区の認定こども園「ひばりが丘明星幼稚園」は1963年の開園時から障害児を受け入れ、現在はダウン症児1人が通う。保育士1人が終始付き添い、食べ物を飲み込む力が弱いため食材をやわらかくするなど配慮する。身体の発達が遅くハイハイするダウン症児のために子供がドアを開けるなど支える雰囲気もつくり、相良(さがら)郁子園長は「子供たちが互いに助け合うことが大切」と話す。

障害児保育に詳しい東洋英和女学院大(横浜市)の平田幸宏准教授(特別支援教育)は「人手不足は間接的要因に過ぎない。インクルーシブ(分け隔てない)社会の実現に向け、どの配慮が必要で何が不要かなどを知ることが大切。保育者側の経験が追いついていない」と指摘し、保育士への教育拡充など行政の努力を訴える。(蒲生美緒)

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