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北大に小児集中治療室を 2030年代前半開設目指す 7月3日からクラウドファンディング

​PICU​設​立​の​構​想​が​進​む​北​大​病​院​

​PICU​設​立​の​構​想​が​進​む​北​大​病​院​

北大病院小児科(札幌)は、重篤な子どもを集中的に治療・看護する、小児集中治療室(PICU)を設立する準備を始めた。早ければ、2030年代前半の開設を目指す。幼い命に24時間寄り添うPICUのスタッフを今から計画的に育成するため、7月3日午前9時からクラウドファンディング(CF)で寄付を募る。

24時間寄り添う専門チーム育成

目標額は700万円。プロジェクトの中心メンバー、小児科PICUグループの泉岳(いずみがく)医師(44)=集中治療部助教=は「これまでどうしても命を救えない子どもたちがいた。こうした重症の子どもを救うため、専門家の集団と施設を北大病院につくりたい。北海道には、PICU不足という深刻な課題があることも知っていただきたい」と、理解と協力を呼びかけている。

道内6床のみ

北大病院小児科や日本集中治療医学会の小児集中治療協議会によると、道内のPICUは、道立子ども総合医療・療育センター(愛称・コドモックル、札幌)の1施設6床だけ。

全国には、PICUが35施設、計359床あるが、地域によって偏りがある。日本小児循環器学会と日本心臓血管外科学会の共同調査では、PICU1床当たりの子ども(0~14歳)の人口は、近畿が2万8千人、関東甲信越が3万5千人で「病床数は欧米と同等で充足している」。これに対し、6床の北海道は9万6千人と、実に近畿の3倍以上だ。泉さんは「北海道はPICUが全く足りていない。道内は3~4カ所の施設に合計で20床程度は必要ではないか」と訴える。

現在、北大病院小児科は、集中治療を必要とする重症の小児患者に対し、病院全体で8床ある成人用の集中治療室(ICU)の一部や、小児科病棟にあるICUに準じた手狭な「観察室」(4床)で対応している。だが「全ての重症患者を受け入れられていないのが現状」(小児科)という。

そこで、近い将来、改築が予定されている北大病院の新施設にPICUを設立する構想を立てた。各臓器の専門医らが協力して治療する必要がある重症の多臓器不全の小児患者を全道から受け入れ、24時間体制で集中的な治療を提供する8床の開設を計画している。

小児集中治療は、医師や看護師をはじめ、薬剤師、臨床工学士、理学療法士などの連携が必要なチーム医療で、それぞれ専門的な知識や技術の習得が欠かせない。しかも、24時間365日稼働するには多数の人材が必要になる。泉さんによると、医師だけでも13~15人程度、チーム全体では50人を超えるため「計画的に育てる必要がある。7年で間に合うかどうか、今がぎりぎりの段階です」。

まず核の12人

北大病院小児科は4月、泉さんら医師2人で新たな診療班「PICUグループ」を発足させるなど、小児専門の集中治療医の育成に向けて一足先に動きだした。

CFで集まった寄付は、医療スタッフがPICUで必要とされる知識や技術、資格を習得するセミナーや研修会の参加費、交通費などに充てる。まずは将来の核となるメンバー計12人分の育成を支援する。

プロジェクトの責任者、小児科の真部淳(まなべあつし)教授(62)は「北大病院のPICUが多臓器不全の重症の子どもを担当できれば、全道各地の小児科医が各自の専門分野の診療に専念でき、より多くの患者を受け入れられる。地方の小児科医の負担を少しでも軽くできれば、道内の子どもたちの健康を守る近道になると信じる」と話している。

CFの募集は8月31日午後11時まで。寄付額は5千円~100万円。目標額を達成できなければ返金する。プロジェクトの詳細や寄付は特設サイトhttps://readyfor.jp/projects/hokudaiPICU2023から。ネット上で手続きが困難な場合は、北大社会共創部広報課卒業生・基金室の電話011・706・2028へ。プロジェクトの内容に関する問い合わせは、北大大学院医学研究科小児科医局の電話011・706・5954へ。(編集委員 岩本進)

PICU

小児専門の集中治療室。英語のPediatric Intensive Care Unitの頭文字を取った。昨年、北海道を舞台に、架空の札幌の病院のPICUを題材にしたテレビドラマが放送され、話題になった。

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