プール学習一律中止に疑問の声 函館の全市立小 保護者「柔軟な対応を」

函館市役所
バスの運転手不足で函館市内の全市立小学校の本年度のプール学習が中止になったことについて、保護者からは柔軟な対応を求める声が上がっている。プール学習は新型コロナウイルスの影響で中止になり、4年ぶりに再開する予定だった。しかし、児童がプールのある学校に移動するためのバスが確保できず、函館市教育委員会(市教委)は学習機会の平等を理由に全小学校一律の中止を決めた。
市立小学校では例年、プール学習が7月から9月にかけて行われる。敷地内にプールがない小学校は市内で20校。うち1校は徒歩で市民プールを利用し、19校はプールがある学校までバスで移動していた。これまで市教委は学年ごとに年3回の授業ができるようにバスを手配しており、2019年は延べ約350台のバスを動員した。
20年からはコロナ禍でプール学習は中止になり、バス業界も運転手の離職が相次いだ。市教委によると、再開に当たり市内に事業所を置く各バス会社に連絡を取ったが、観光需要の高まりによる人手不足を理由に断るところもあったという。このため、プール学習を10月まで延長しても1校当たり1回程度しか実施できないことが分かったという。市教委は「プールのある学校だけ実施すると、教育格差が生じてしまう」と一律中止の理由を説明する。
一方、小学2年生と3年生の子どもを持つ市内の会社役員の男性(39)は「子どもが水に親しむ機会が減る。水泳教室などに通えるかどうかは、家庭の財力次第。それこそ格差ではないか」と訴える。小学5年生の子どもがいる市内の会社社長佐々木浩平さん(43)も「人手不足はやむを得ないが、一律で中止する必要はない。プールのない学校は別のスポーツを学ぶなど柔軟な対応ができなかったのか」と話す。
市教委は1997年に各校にプールを設置する計画を始めたが、児童数の減少や建設、維持費を考慮し2005年からプールのない学校は、プールのある学校や地域の施設を利用する「拠点化」に切り替えた。
敷地内にプールがある小学校の男性校長は「中止について子どもからはあまり反応がない。3年間プール学習がなかったので、今年も同じという感覚なのかもしれない」とみる。市教委は「来年はプール授業を実施できるよう、早急に検討したい」と話している。(千鳥綾香)
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