【こどもの本棚】マイケル・ホール『Red』
今回のテーマは「多様性を知る」
推薦者 JICA北海道(帯広)図書資料室 おびぶっく 加藤かおりさん
クレヨン 本当の色は
JICA北海道図書資料室には世界の文化や国際協力などの絵本や児童書が並んでいます。多様性を考えるきっかけになる本を加藤さんに教えてもらいました。
「Red」(マイケル・ホール作、上田勢子訳/子どもの未来社)=写真=の表紙は、タイトルとは違って青色となっています。サブタイトルは「あかくてあおいクレヨンのはなし」。
主人公は、青色のクレヨンなのに巻紙に「レッド」と書かれています。「赤いから」と周りはレッドに赤い色を塗ってもらおうとしますが、うまくできません。「練習すればできるはず」「なまけているんじゃないか」と周囲は言います。文房具がラベルを切ったり、芯を削ったりして助けるけれどうまくいきません。
ある日、新しい友達に言われました。「海を描いてくれる?」 レッドは「赤だから、海は描けないよ」。それでも簡単に青い海を描いたレッドは、次々に青い物を描き「赤じゃない、青なんだ!」と気づくのです。「人や物事も、外見より中身を見ることが大切と伝えてくれます」と加藤さん。レッドの気持ちのように晴れ晴れとした青空の絵が印象的です。
友達は言います。「レッドがブルーだって誰か気付いてた?」「青いイチゴだってすてきよ」。周りは決して意地悪をしていたわけではなく、単に無知だったのです。加藤さんは「関心を持つ、知ることの重要性を教えてくれます」と話します。小学生中学年から。
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(2023年1月31日 北海道新聞帯広・十勝版掲載)
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