特別な日のお守りに 函館在住の刺しゅうアクセサリー作家・加藤麻衣さん 白基調、繊細であたたか

窓から雪景色が見える部屋で制作し、「自然とその年に見ている雪の色と同じ色の糸を使う」と笑う加藤さん
【函館】木の実のような指輪、もこもことしたブレスレット、ビーズがきらりと光るイヤリング。刺しゅうが施された、繊細でどこかあたたかいアクセサリーを手がける。「どこに刺しゅうがされているのか不思議に思われるくらい精密に作るのが好き」と笑顔を見せる。
東京都出身。裁縫が得意だった母から手縫いの基礎を学び、小学生のころには編み物をしたりぬいぐるみを作ったりしていた。高校教諭に勧められて東京の美容専門学校に進学し、ヘアメークや着付けなどを学んだ。「学校の友人はセンスが突き抜けていて、上手下手ではなく自由に作る子ばかり」で、型にはまりがちだった自分を解放する楽しさを学んだ。専門学校卒業後は結婚式場でヘアメークなどを担当していたが、結婚して2015年に夫の故郷・函館に移住した。
長く離れていた刺しゅうを再開したきっかけは、16年の夏に姉に誘われて参加した作品展「布博」。全国各地から東京に布小物が集まるイベントだ。参加したのは刺しゅうがテーマの企画で、壁飾りやアクセサリーなど「刺しゅうという概念を打ち破るすてきな作品に出合って、これだと思った」。帰函後、刺しゅうを改めて勉強し、16年12月に自身のブランド「harishigoto」(はりしごと)を立ち上げた。
「harishigoto」のアクセサリーは白を基調としたものがほとんどで、「雪景色に影響を受けているんです」と話す。窓の外の雪を見ながら制作活動を行うことが多く、同じ白でも作った年や時期によってベージュっぽかったりグレーに近かったり、純白だったりとさまざまで、「作品を見たらいつ作ったものか分かります」と笑う。
特別な日に身に着けるアクセサリーにしてほしいと、刺しゅう糸を1~2本取りにして手間を惜しまず繊細に表現する。いろいろな刺しゅうの技法を使い、ときには1週間以上かけて完成させる。アクセサリーの土台部分に使用する革は、函館の革職人が小物を製作した後に余った端切れを取り寄せ、金具はゴールドフィルドを使うなど長く使ってもらうためにこだわりを詰め込む。「特別な日に自信がつくお守りだったり、母親から一人の女性になるスイッチのような、非日常を味わえるアクセサリーにしたい」と話す。
作品展は東京を中心に全国各地で行い、現地に行くこともしばしばある。「全国各地でいろいろなものを吸収して、函館で制作するのが大好き」と笑顔を見せる。今後は東京や岡山、京都での作品展をひかえていて、「これからも呼ばれたところに飛んでいってさまざまな展示会ができたら」と意気込む。アクセサリーの製作依頼は随時インスタグラム(@harishigoto_)などで受け付けている。(足立結)
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