生理用品、全市立校トイレに 帯広市、22年度から設置

生理用品が置かれた帯広市内の学校のトイレ
帯広市は本年度から市内の全小中学校計38校と大空学園義務教育学校、帯広南商業高で、生理用品の設置を始めた。これまでは児童生徒から要望があれば保健室で対応することが多かったが、女子トイレに置いて自由に使えるようにした。新型コロナ禍で注目された「生理の貧困」に限らず、児童生徒が学校で安心して過ごせるようにする狙いだ。
市内のある学校は5月から全ての女子トイレに設置。「何か困りごとがあれば保健室に相談を」というメッセージを書いたカードを添える。同校の養護教諭は「子どもが体の悩みや普段の生活で困っていることを気軽に言いに来る機会にしたい」と説明する。
昨年春の時点で、市側は設置に消極的だった。5月の市議会経済文教委員会で、市企画総務課は「学校においてコロナ禍における生活困窮から生理用品に困っている状況は見受けられない」などと説明。設置された生理用品へのいたずらや衛生面の懸念を挙げた。市教委も保健室に予備の生理用品や汚れた際の着替えがあるため、対応できているとの認識だった。
ただ、実際には保健室で生理用品を借りることへの恥ずかしさを感じる子どもたちがいる。家庭の経済事情以外でも、経血が見込みより多かったり、急に生理が始まるなど、生理用品が必要になる場合もある。
その後も全国的に「生理の貧困」への関心が寄せられる中、市教委は実態を調べるため、昨年度、大空中(現大空学園義務教育学校)と西陵中で生理用品を試験的に設置。生徒へのアンケート(回答率約40%)では、約43%が利用したことが分かった。また、65%が「生理用品が手元になくて困った経験がある」と答えた。一方、いたずらや大量の持ち去りは確認されなかった。
こうした調査結果などを踏まえ、市教委は全校設置の準備を進めることにした。学校教育課は「経済困窮の視点だけではなく、子どもが不安なく生活する環境につなげたい」と強調する。
十勝管内では帯広市のほか、清水町や芽室町、大樹町、広尾町が生理用品の設置を積極的に行うほか、幕別町は本年度中に取り組む考え。鹿追町でも設置に向けた検討を進める。他の町村は児童生徒から要望があった場合、保健室に備え付けている生理用品で対応している。
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