• 2018/05/16

    暑がり、寒がり、皮膚乾燥、倦怠感…原因は甲状腺かも

     暑がりになって汗をたくさんかく、食欲がないのに太ってきた、肌がカサカサになった…。季節の変わり目や年齢のせい、更年期だからなどと、こうした体のサインを見逃していませんか? これらの症状はもしかしたら甲状腺の機能が異常を起こしているかもしれない。日本で甲状腺のなんらかの病気を患っている患者は10~15人に1人と少なくない。自分でできるチェックポイントを専門医に聞いてみた。

     甲状腺は首の前方、のどぼとけの下あたりに位置する内分泌器官という臓器の一種。「チョウが羽を広げたような形をしていて、成人で15~20グラム程度。通常は指で触ってもわかりません」と、甲状腺疾患を専門に扱う「さっぽろ甲状腺診療所」(札幌市中央区)の岩久建志院長(42)は話す。

     甲状腺には新陳代謝を促す甲状腺ホルモンの分泌という重要な役割がある。子供の成長や発育に関与するほか、自律神経の一種で体を活動させる交感神経を活発にする働きがある。甲状腺に病気などで異常が生じると、甲状腺ホルモンの分泌の不具合で全身にさまざまな症状が現れる。

     例えば、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になると、心拍数が増加する頻脈や不整脈、血圧の上昇、発汗過多や体重減少、髪が抜けやすくなるといった症状が起こる。逆に分泌が低下すると、心拍数が減少する徐脈や血圧の低下、疲労感や体重増加などが起こる(成人の安静時の脈拍数の目安は毎分60~80回とされ、頻脈は100回以上、徐脈は60回未満を指す)。

     甲状腺の病気にはたくさんの種類があるが、甲状腺ホルモンの機能異常に関する病気は大きく分けて二つ。血液中の甲状腺ホルモンが多すぎる「甲状腺機能亢進(こうしん)症」、血液中の甲状腺ホルモンが少なすぎる「甲状腺機能低下症」だ。

     亢進症の代表的な病気の一つがバセドー病。自己抗体(自分自身の体を攻撃する抗体)が甲状腺を刺激することで甲状腺ホルモンを過剰に作り出す病気で、手足の震えや眼球の突出といった症状が現れる。逆に橋本病のように甲状腺の機能が低下すると新陳代謝が低下して皮膚がカサカサになったり無気力・倦怠(けんたい)感、むくみなどの症状が出る。

     橋本病は甲状腺に慢性の炎症が起きている病気で、慢性甲状腺炎ともいう。炎症があってもホルモンの分泌は低下せず、病に気づいていない患者も多い。ただ、炎症により甲状腺が破壊されると機能低下症のさまざまな症状が表れてくる。

     甲状腺疾患は特有の症状が現れないため、他の病気と間違えてしまうことも少なくない。寒がりになっても、自分は冷え性だからと放置してしまうことがある。汗っかきになり、貧血が起きやすくなっても更年期の症状と間違われやすい。意欲が低下し、記憶力が低下することもあり、うつ病と間違われることもある。

     岩久院長は「単なる体調不良だと我慢する人や、複数の診療科への受診を続けてしまう人も多い。長引く不調の際は、甲状腺の病気を疑ってみてほしい。女性に多い病気だが、男性患者も少なくない」と訴える。

     最近は健康診断や人間ドックで甲状腺機能を調べるTSH(甲状腺刺激ホルモン)を血液検査の項目に入れているところも多い。TSHは、脳下垂体の前葉から分泌されるホルモンで、甲状腺ホルモンの分泌を調節する役割を果たす。TSHの数値によって、甲状腺機能亢進症や甲状腺機能低下症などが疑われる場合がある。気になる場合は専門医を受診してほしい。(根岸寛子)

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