• 2020/02/25

    新型肺炎、受け入れ病床確保課題 道内94床、スタッフも不足 専門家「重症優先に転換を」

     新型コロナウイルスの感染が道内全域に広がる中、重症者を治療できる専門的な「感染症病床」や、医療従事者の確保が課題になっている。厚生労働省などは、感染症に対応できる病床を増やすよう呼びかけているが、医療機関の多くは「新たな増床は難しい」と困惑し、専門家は「重症者の治療を優先した対応に転換を」と指摘している。

     「現時点は全員入院できているが、今後増えていくと対応できない可能性がある」。札幌市保健福祉局の担当者は24日の記者会見で、危機感をにじませた。

     24日までに計30人の感染が確認された道内にある国指定の感染症病床は24医療機関の計94床。感染者が相次ぎ、病床が埋まりつつある地域もある。

     厚労省は今月12日以降、感染症病床以外でも受け入れる病床を確保してほしいと、各自治体に複数回にわたって要請した。17日には病床の定員数を超えて入院させる場合、医療法施行規則の「臨時応急のため」に該当し、問題がないことも通知した。

     ただ、道内の感染症指定病院の関係者は「感染症の知識を持った看護師ら医療スタッフの確保は簡単ではない」と述べ、一般病床では容易に受け入れられないと明かす。道北の感染症指定病院の担当者も「治療薬がない現状では、容体が安定した患者でも一般病床に移すタイミングの判断が難しい」と感染症病床に留め置かざるをえないとみる。まして一般病院は「防護服など感染症の備えが十分になく、多くの病院が頭を悩ませている」という。

    新型コロナウイルス感染者について、今後予想される治療体制

     「ウイルス検査の敷居を下げ、軽症もすべて検査に回すと、限られた感染症病床がパンクしてしまう」。道南で22~24日の3連休中の当番となった病院の男性医師は、連休の直前に地元の保健所の許可を得て、高熱が続くなど感染が強く疑われる患者のみ検査に回す方針で診察にあたった。

     連休中は1日で普段の当番日の1.5倍近い約100人を診察し、検査に回した患者はいなかったが、男性医師は「状況が刻々と変化する中、柔軟に運用を変えなければ対応が後手に回ってしまう」と話す。

     医療現場への影響が広がる中、北海道医師会は25日、対策本部会議を開き、感染症病床以外で患者受け入れが可能な医療機関とその病床数、医療スタッフ数などの情報を集約し、地域ごとに受け入れ可能な病院を検討する。

     長瀬清会長は「一般病院での受け入れを具体的に検討する時期に入った」と危機感をにじませる。一方で、無条件に受け入れを広げれば人員不足を招き、十分な治療や防疫対策が取れなくなるリスクが高まるとし、刻々と増える感染者の症状を的確に把握し、重症者の受け入れを優先するなどの措置が必要だとみる。

     北海道医療大の塚本容子教授(感染管理)も「重症者の治療を優先した医療に移行するため、国は軽症者の自宅療養など段階的な対応策を示すべきだ」と指摘。各病院には患者の受け入れ拡充に向け「感染経路が似ている季節性インフルエンザの入院患者への対応も参考に個室を用意するなど対応してほしい」と柔軟な対応を求めている。(斉藤千絵、石垣総静、袖山香織)

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