• 2019/09/12

    胆振東部地震1年 乳幼児いる家庭どう備える オムツや食品1週間分目安 緊急時用に簡易トイレ 意外に重宝 赤ちゃん用品

    昨年9月の胆振東部地震から1年がたった。今後も起こりうる災害を想定し、赤ちゃんや幼児のいる家庭では、どのような物を備えておくと良いだろうか。小さな命を守るための心構えや備蓄のヒントを専門家に聞いた。

     
     「災害対策というと『防災グッズは何をそろえたらいいか』と聞かれることが多いですが、まずは自分の住む地域でどんな災害が起こるかを知ることが大切です」。東日本大震災や熊本地震で被災した母親たちの体験談を参考に、全国で講演活動を行うかもんまゆさん=千葉県船橋市=は力を込める。

     自治体が公表する情報などから、まず自宅のある地域で想定される地震の最大震度や津波の高さを知っておく。

     例えば札幌市の場合、想定される地震の最大震度は7で、建物倒壊による死者は約2千人。厳冬期はさらに約6千人が短時間のうちに凍死すると想定される。「そこから逆算して、自分と子どもを守るために何が必要か考えましょう」とアドバイスする。

     災害時は「避難所に行けば、あとは何とかなる」と考えたくなるが、「残念ながらまだ、女性や子どもに優しいとは言えないところも多い」と指摘。過去の地震では、避難所の仮設トイレが和式で停電中の夜は真っ暗になり、「子どもが用を足せず、困った」との声も多かったという。

     家庭に備えておくオムツや食品は、物流が途絶えた時を想定して「今買い物ができなくなっても、1週間困らない量を備えておくと良いでしょう」とかもんさん。食物アレルギーがある場合は、2週間分を目安に用意すると良いという。

     防災リュックは、女性が1人で背負って逃げるには10キロ以内が目安とされている。札幌の子育てサークル「Wプロジェクト」の西川明子代表は、乳幼児の着替えやオムツについて「ふだん外出時に使うマザーズバッグに大体そろっている。後はスペア(備え)を一つプラスできるよう、ふだんから用意しておくと良いでしょう」と話す。

     さらに「100円ショップで売っているような緊急時用の簡易トイレを備えておくと、段ボールや断水中の洋式トイレ、簡易おまるにセットして使うこともできます」。

    緊急時用の簡易トイレ
    緊急時用の簡易トイレ

     一方で「赤ちゃん用品は、災害時は意外と便利な物も多い」という。使い捨てのお尻拭きは手拭きに代用でき、オムツ用の消臭袋は、生ごみをすぐに捨てられない時などにも役立つ。

     北海道の厳冬期に向けた備えはどうするか。西川さんは、多用途に使えるひざ掛けや防災ブランケットを用意することと、抱っこひもやスリングを正しく使えているか見直すことを提案。「抱っこやおんぶをすると、赤ちゃんとママがお互いの体温で温め合える。非常時に赤ちゃんをしっかりと抱き、かつ荷物を持って逃げられるよう備えておいてほしい」と話している。

    乳児用液体ミルク お湯使わずに授乳可能

     昨夏に国内での製造が解禁された乳児用液体ミルクは現在、ベビー用品店や一部の道の駅で市販され、入手が容易になっている。粉ミルクのように熱いお湯で1度溶いてから冷ます過程が不要なため、災害時に清潔なお湯が手に入らない場合でも授乳しやすい利点がある。

     9月上旬には札幌市内で体験会が開かれ、乳幼児と母親5組が参加した。

     生後10カ月の長男に粉ミルクをふだん与えているという札幌市豊平区の女性公務員(33)は「(長男が)液体ミルクもおいしそうに飲んでくれた。扱いが簡単なので、災害時に備えたり、外出時に利用しようと思う」と話していた。(酒谷信子)