• 2019/09/10

    着床前診断に新たな動き 遺伝病診断基準審議会で検討 流産予防臨床研究対象を拡大

     体外受精した受精卵に特定の病気に関する遺伝子や染色体に異常がないかを調べる「着床前診断」を巡り、新たな二つの動きが出ている。これまで命に関わる病気に限っていた遺伝病の診断基準などを検討する倫理審議会の設置と、不妊治療での流産予防を目的とした臨床研究の対象拡大だ。異常のない受精卵を選んで子宮に戻す着床前診断は、期待する患者がいる一方、病気や障害のある人の排除につながりかねないとの批判もある。

     着床前診断は目的別に《1》子どもに重篤な病気が遺伝するのを防ぐ(PGT―M)《2》夫婦いずれかに染色体の構造異常があるため繰り返す流産を防ぐ《3》不妊患者の流産リスクの低減と妊娠率向上(PGT―A)―の三つに分類される=表=。

     1990年ごろから海外で普及し始め、国内では日本産科婦人科学会(日産婦)が98年に「見解」を発表し、重篤な遺伝病の子どもを出産する可能性のあるカップルに限り、実施を容認した。その後、染色体の一部がちぎれて入れ替わるなどの構造異常がある夫婦も対象に加えられた。

     導入当初から国による指針作りを求める声があったが、国が動くことはなく、日産婦が申請1例ごとに審査して、実施の可否を決めている。

     流産予防を目的にすべての染色体の数の異常を調べる着床前診断は「着床前スクリーニング」とも呼ばれ、欧米では不妊治療の通常の検査として広く行われている。国内では日産婦が見解で禁じてきたが、日本人の不妊患者の流産リスクを減らせるかなどを検証するため3年前、臨床研究の実施を決定。道外4施設で約70人に行われたが、症例数が少なく、効果がはっきりとわからなかった。

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