上士幌唯一の助産院開業 岡山から移住の渡辺さん「ママの不安解消したい」

上士幌で唯一となる助産院を開いた渡辺さん。オンラインでの相談も受け付けている

上士幌で唯一となる助産院を開いた渡辺さん。オンラインでの相談も受け付けている

【上士幌】岡山県から移住した助産師渡辺雅美さん(41)が、町内で唯一となる助産院「マミー助産院」(町東3線)をオープンした。産婦人科がある帯広市内までの通院が大変という母親の声を受けて開院。乳房のケアなど産前産後の支援拠点を目指し、SNSでオンライン相談も受け付ける。「将来的には自宅出産も手がけたい」と意欲を見せている。

産前産後ケアの拠点に

10月25日に開院。開院に先立ち、8月からLINEを使った相談を行っていた。24時間受け付け、「疑問や心配事があった時、メモ代わりにすぐ書き込んでもらうと、気持ちが楽になると思う」。

平日の週5日営業し、乳腺炎の予防法などを指導するほか、子育てや性教育の講座も開く。管内在住者を対象に在宅訪問も行い、すでに足寄町や広尾町からも依頼が入っているという。いずれも月額制(5千~6千円)で、現在15人前後が利用している。

岡山県出身で同県の総合病院で常勤の助産師として長年勤務。地方暮らしに関心があり、2019年に町の移住体験に参加。昨年2月、夫と5歳、4歳の2人の息子と同町に移り住んだ。

当初は、役場の保健福祉課の会計年度任用職員として働き、助産院を開く予定はなかった。役場の仕事で子育て世代への訪問などを行ううちに、地方の出産子育ての実情に危機感を抱いた。「町内に産婦人科がないため、乳腺炎になっても我慢して生活を続けたり、痛みながら片道1時間をかけて帯広に通院している。ママたちの不安を解消したい」と開業を決意。町が設立したまちづくり会社の起業塾に通い、経営のノウハウを習得した。提案型の選考会で認められ、50万円の開業資金も得た。さらに町の創業支援の補助金を受けるなど、町や町民からの期待も大きい。

1人で対応するため、自宅出産については追加の助産師を手配したり、帯広の病院との連携が必要。ハードルは高いが、2年後にも始めたい考えだ。

酪農のマチに合わせて牛の白黒柄のエプロンを着る。「出産育児を楽しんでもらえる空間にします」と張り切っている。問い合わせは同院(電)050・3743・2669へ。

Ranking

  • すべて
  • 妊娠・出産
2024
4/19
FRI

Area

北海道外

その他