浦河に来春「森のようちえん」オープン 学校法人フレンド恵学園理事長・伊原鎮さん

伊原鎮さん

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来年4月、浦河町東町かしわに幼保連携型認定こども園「浦河フレンド森のようちえん」がオープンする。学校法人フレンド恵(めぐみ)学園が、町旭町で運営する幼稚園型認定こども園「浦河フレンドようちえん」を移転させ、名称や教育の方法なども一新する。そもそも「森のようちえん」とは何だろう。子どもたちにとって、どんな学びや遊びの場になるのだろうか。同学園の伊原鎮理事長に話を聞いた。(聞き手・北海道新聞記者 河村元暉)

考える力、外遊びで育成

――「森のようちえん」とは何でしょうか。

「北欧発祥の幼児教育の名称です。5年前に知人から話を聞き、その存在を知りました。自然の中で遊ぶことで、心身の健康のほか、自分で考える力や好きなことを突き詰める力を育みます。健やかな成長のためにとても良い実践です。13年前に浦河に来て母が経営する幼稚園の園長となった時、子どもたちが戸外で遊ぶ光景が少ないことに驚きました。ですから(園では)外で遊ぶことを大事にしてきました。しかし、それにはバスで遠出をしないといけない。園舎の老朽化もあり、自然豊かな場所で『森のようちえん』を実践するため移転を決めました。新しい園舎は目の前に約3万7千平方メートルの森があり、日常的にそこで遊べます」

――森の中でどのように遊ぶのでしょうか。

「小屋やハンモックを設ける予定はありますが、森の中におもちゃはありません。木登りや虫を探したり、おままごとをしたり、自由に遊びを作っていく。子どもたちは自分が面白いと思うからこそ夢中になります。安全を考えるなら園舎の中で遊ぶ方が良いが、室内に閉じ込めることは子どもの成長につながらない。一方、戸外で子どもたちが安全に遊ぶ場を用意するには、ハチに刺された場合の対処法を身につけるなど、技術と知識が必要です。先生に事前研修で理解を深めてもらうつもりです」

――園舎にもこだわったそうですね。

「道産材を使った平屋建てで、周りの森の環境と調和させた建物にします。屋内は壁を極力少なくして柔軟な使い方ができるようにし、年齢の異なる子ども同士が関わることを目指します。そうすれば、年下の子どもが年上のまねをしたり、逆に年上が年下の面倒を見たりと、子ども同士で学びが生まれる。先生が何かを教える『こども園』ではなく、子ども同士が学び合うことを目指しています」

――今後の展望を。

「今年4月、新しい園の近くに『こどもの森 うらここ』を開設しました。0歳から18歳までの障害のある子どもや、発達の遅れがある子どもの成長を手助けする事業所です。2年ほど前、ある母親から『働いているので母子通園だと大変』と聞き、付き添いがなくても通える施設を造ろうと考えたのです。『森のようちえん』だけでなく、学園のさまざまな取り組みを日本中から注目されるものにし、教育で町に貢献したいですね」


いはら・やすし 東京都出身。米国のインディアナ州立インディアナ大卒。東京の幼児教育のコンサルティング会社などで勤務し、2008年に母が経営する現在の「浦河フレンドようちえん」の園長になった。18年3月から同幼稚園を運営する学校法人フレンド恵学園の理事長に就任。母から経営を引き継いだ。

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