子どものワクチン接種、迷う保護者 健康への長期的影響に不安 受けないと「いじめあるかも」

ワクチン接種に関する勉強会で意見を交換する母親たち=7日、札幌市

ワクチン接種に関する勉強会で意見を交換する母親たち=7日、札幌市

新型コロナウイルスのワクチン接種が幅広い世代に広がる中、子どもの接種をどうするか、道内の保護者が頭を悩ませている。ワクチンの発症予防効果には期待しつつ「将来的な影響や副反応が心配」として、二の足を踏む保護者は少なくない。政府は11月にもワクチン接種を条件に行動制限を緩和する方針だが「接種しない場合、いじめや差別を受けないだろうか」と懸念する声も出ている。

「健康への長期的な影響はないのか。子どもの将来にリスクを背負わせてしまわないか不安だ」。7日に札幌市内で開かれた新型コロナワクチンに関する有志の勉強会で、同市南区の英会話講師北田和佳子さん(52)は、こう話した。

北田さんは中学1年の長女(12)とワクチン接種について話し合っている。インターネットで医師の解説を読んだり、医療に詳しい知人の話を聞いたりしたが、危険性を指摘する情報も多く、自身の接種についても慎重な立場だ。「接種するかは、あくまでも個人の判断だが、子どもの場合は親の影響が大きい。しっかり考えたい」と話した。

受験を控え苦慮

勉強会を開いた母親らによる消費者団体「ママエンジェルス北海道」代表の田中季枝さん(46)も、大学受験を控えた高校3年の長男(18)の接種を悩んでいる。過去に娘がインフルエンザのワクチン接種をした後、強い倦怠(けんたい)感などの副反応が出たことがあった。「受験生は、いつ接種するべきなのか。もし試験に影響して、子どもの一生が変わるかもと思ったら、簡単には決められない」と話す。

「子どもは接種後に心筋炎になるケースもあると聞いた」「子どもの接種について、本当に十分な治験が行われたのだろうか」。勉強会の参加者からは、こうした懸念が相次いだ。

10代へのワクチン接種は道内でも着実に進んでいる。根室市では8月29日までに12~15歳の62%、16~18歳の94%が2回目の接種を終えた。旭川市も今月21日から12歳以上の接種予約の受け付けを開始する。札幌市も時期は未定だが、集団接種の実施を検討中だ。

政府は9日、希望者のワクチン接種が完了する11月ごろをめどに行動制限を緩和する方針を決定。2回接種を終えた接種済証かPCR検査の陰性証明などの提示を条件に、部活動や課外活動を可能にする方向だ。

挙手で意思確認

ただ接種の有無による「分断」への懸念も広がる。ワクチン接種はあくまで任意で、接種したかどうかは極めて個人的な情報だが、愛知県や奈良県では今月、中学教師が生徒にワクチン接種の有無を挙手させて確認していたことが判明。各教育委員会は「不適切な行為」として、再発防止の徹底に追われている。

札幌市教育委員会は、市内での同様の事例は把握していないとするが、同市中央区の自営業男性(50)は8月下旬、中学生の息子から「担任の先生にワクチンを接種しない人は挙手するように言われた」と聞かされたという。男性は「ショックだった。大ごとにするつもりはないが、接種しない子がいじめや差別を受けかねない。学校や関係機関には丁寧に対応してほしい」と求めた。

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