受診の空白解消、親子に安心 旭川市が10カ月児の健診開始へ

旭川市保健所で行われた4カ月児健診で、体を触って発育状況を確認する医師

旭川市保健所で行われた4カ月児健診で、体を触って発育状況を確認する医師

旭川市は今月から、新たに10カ月児を対象にした乳幼児健診を始める。生後10カ月前後は精神面や運動機能が急速に発達する時期で、旭川小児科医会は「子の発達や育児に悩む親を支援する機会になる」と期待する。対象となる家庭からも「医師に相談できる回数が増え、安心につながる」との声が上がる。健診は市内21の医療機関の小児科で行う。

市と乳幼児との関わりは生後4カ月までに保健師が家庭を訪問する「赤ちゃん訪問」と、保健所で医師や保健師が行う乳幼児健診がある。乳幼児健診は4カ月、1歳6カ月、3歳6カ月の3回だが、生後4カ月と1歳6カ月の間の空白が指摘されていた。発達に差が出やすい時期でもあり、10カ月児健診できめ細やかな母子支援につなげる。

10カ月児健診の対象になるのは2020年9月2日以降に生まれた子から。市は今月16日から問診票を郵送、親は病歴や予防接種歴を記入し、21医療機関のいずれかに電話で予約する。医療機関では心身の発育状況や親の育児の悩みを確認し、さらに離乳食などで相談が必要な人には、市が栄養相談を行う。市は日頃から子を診ているかかりつけ医での受診を勧める。

旭川小児科医会の坂田葉子医師(丘のうえこどもクリニック院長)によると、生後10カ月は手指を器用に動かしたりハイハイや伝い歩きができるようになり、視力や聴力の病気も発見しやすい。人見知りや後追いを始める時期で、親との愛着が形成されているかも分かるという。坂田医師は「栄養状態や予防接種歴も確認し、早期の支援を開始できる」と利点を挙げる。

親からも歓迎の声が上がる。生後5カ月の次女を育てる菊地美緒さん(32)は「上の子は10カ月ごろから言葉の遅れが出始めた。病院に行くまでもないが心配なことは多く、医師に診てもらえると安心する」と話す。同じく生後5カ月の長男がいる黎(らい)彩花さん(36)は「離乳食を始めたが体に湿疹が出ることもあり、4カ月児健診で診てもらった。相談の機会が増えるのはありがたい」と話す。

保健師でもある川村ひとみ母子保健課長は「今後も医療機関と市、保健所が連携し、妊娠期から切れ目のないケアを行う。健診では気軽に相談してほしい」と呼び掛ける。

この記事に関連するタグ

Ranking

  • すべて
  • 子育て・教育
2024
4/20
SAT

Area

北海道外

その他