アナログゲームのススメ 函館の交流スペース、大人も子供も一緒に楽しく

図形ゲームの「ブロックス」に夢中になる子供たち

図形ゲームの「ブロックス」に夢中になる子供たち

【函館】コロナ禍で「おうち時間」が長引く中、ボードゲームやカードゲームといった電子機器を使わない「アナログゲーム」が注目を集めている。大人も子供も一緒に楽しめるこれらゲームの人気の秘密を探った。

函館市宝来町34の「コミュニティスペース Hanaichi」は、ボードゲームやカードゲームなどのアナログゲームを楽しめる店として2019年11月にオープン。棚には150種類以上のゲームがあり、子供向けのシンプルなものから「オセロ」「将棋」などの定番、大人向けの本格ボードゲームまで自由に楽しむことができる。

週末に店を訪れゲームを楽しんでいたのは函館の会社員西谷武さん(37)、弦(ゆづる)君(9)親子と、千葉大輔さん(48)、雫(しずく)さん(10)、一樹君(7)親子。共にボードゲーム好きで、コロナ前は家に集まってゲーム大会を開いたこともあるなど家族ぐるみの付き合いだという。

西谷さん宅にはゲームが20種類ほどある。武さんは「モノポリーやマージャンゲームなど、みんなでワイワイしながらできるのが好き」という。千葉さん宅にも30種類ほどあり、大輔さんは「昔からボードゲームが好き。テレビゲームと違って大人と子供が一緒に会話しながらできるのがいい」と話す。

子供たちは人気ユーチューブの動画を見てルールを覚えたり、児童館や学童保育にあるゲームで遊び方を覚えることも多く、雫さんは「ボードゲームは頭を使うところが好き。シンプルなものがいい」と話す。

目的へ全員協力

最初に楽しんでいたのは「Dr.STONE」のボードゲーム。週刊少年ジャンプに連載されている漫画のゲーム版だ。原始の時代に戻った未来にタイムスリップした現代の天才少年たちが科学の知識を用いて文明復活を目指すストーリーで、プレーヤー全員が目的のために協力する「協力型ゲーム」と呼ばれるタイプ。

続いて子供たちが選んだのは「ブロックス」。1~5個の正方形がつらなったブロックを、法則に従って配置していきテリトリーを広げていく図形ゲーム。子供たちは説明書をちらりと見ただけで、やりながらどんどんルールを把握していく。

本​格​派​ゲ​ー​ム​と​し​て​大​人​に​人​気​の​「​カ​タ​ン​」​

本​格​派​ゲ​ー​ム​と​し​て​大​人​に​人​気​の​「​カ​タ​ン​」​

続いては「カタン」。ドイツ発祥の世界大会もあるゲームで、近年のボードゲームブームの火付け役ともいえる本格派ゲーム。さいころを振ってカードをめくり、鉄や森林など島の資源を使って各自が道路や拠点を造って開発する。大人たちもじっくりと楽しめるゲームだ。

昔のものを洗練

千葉大輔さんによると「新しいゲームも、昔からあるゲームを洗練させたものが多い。近年流行しているゲームは、他人を攻撃せず、自分の世界をコツコツ広げたり他のプレーヤーと協力したりするタイプ」という。

同店でもこのほか、美しいタイルを並べて敷き詰めていく「アズール」、感染症を抑えるためにプレーヤー同士が協力するボードゲーム「パンデミック」、遊びながら論理的思考や言語能力が養われるというカードゲームも人気だという。

「Hanaichi」を経営する三浦孝之さん(45)は「アナログゲームには会話が欠かせない。コミュニケーションのツールとして楽しんでもらいたい」と話し「コロナが収束したら、不特定多数の人たちでゲームを楽しんで仲良くなってほしい」と期待を寄せる。

同店の料金(ワンドリンク付き)は1時間で大人700円、学生500円、小学生300円から。最大5時間のお得パックは大人1200円、学生千円、小学生500円。来店時は電話予約を。問い合わせは同店(電)0138・86・7107へ。

東急ハンズ 家族や幅広い世代に/函館栄好堂 欧州から人気が波及

「おうち時間」を楽しめるアナログゲームは、雑貨店や書店など身近なところで品ぞろえを増やしている。

生活雑貨を扱う「東急ハンズトラックマーケット丸井今井函館店」(本町32、丸井今井函館店4階)では「幅広い世代の人が見にきている。テレビゲームやオンラインゲームをやり尽くして、家族で楽しめるものを探しているのかも」(同店責任者・加賀麻緒さん)という。

根​強​い​人​気​の​「​人​生​ゲ​ー​ム​」​=​東​急​ハ​ン​ズ​ト​ラ​ッ​ク​マ​ー​ケ​ッ​ト​丸​井​今​井​函​館​店​

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もともとは年末年始のパーティーグッズとして扱っていた商品。ボードゲームでは「人生ゲーム」や囲碁・マージャンなど3千~5千円、カードゲームでは演技力が試される「はあって言うゲーム」や、カタカナ語の言葉をカタカナを使わないで説明する「カタカナーシ」など2千円以内を中心に取りそろえている。

書店の函館栄好堂(丸井今井函館店6階)でもコロナ禍でカードゲームやボードゲームの売り上げを伸ばしている。コーナーを設置したのは新型コロナ感染拡大以前の2年ほど前。同店によると、もともとボードゲームは欧州で人気が高く近年、日本でも愛好者が増加しているという。

​さ​ま​ざ​ま​な​カ​ー​ド​ゲ​ー​ム​を​そ​ろ​え​る​函​館​栄​好​堂​

​さ​ま​ざ​ま​な​カ​ー​ド​ゲ​ー​ム​を​そ​ろ​え​る​函​館​栄​好​堂​

さらに2013年から連載されている女子高生がアナログゲームにはまっていく漫画「放課後さいころ俱楽部」や、人気ユーチューバーがゲームを楽しむ動画がきっかけになりアナログゲームの面白さが再び注目された。そこにコロナ禍が加わり「おうち時間」の過ごし方として一気に需要が高まったという。

カードゲームは千~3千円程度のものを多い時は50種類ほど取り扱い、さまざまな種類のものを並べている。人気商品をいくつか紹介すると、「ナンジャモンジャ」はカードをめくって出てくるキャラクターに次々と名前を付けて覚えていくゲーム。暗記力と名付けのセンスが問われ、小さい子供でも楽しめる。

「ごきぶりポーカー」は、ゴキブリやねずみなど嫌われものの害虫や害獣の絵の付いたカードをうまくうそをつきながら押し付け合う、トランプの「ダウト」に似たゲーム。「ソクラテスラ」は、世界の歴史上の偉人の名前の書いたカードを組み合わせ、オリジナルの偉人をつくってバトルを楽しむ。思わぬ珍名やキャラクターができてしまうのも面白さだという。

ボードゲームでは、オセロや将棋といった定番のミニゲーム、大人に支持されている「カタン」シリーズが人気だという。同店は「ほかの人とかかわりを持ちにくい今、家族でコミュニケーションを楽しむ手段としておすすめ。コロナが落ち着いても、コーナーは継続していきたい」としている。

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