ティラノ展示、三笠に元気 博物館の来場者1500人増

三笠市立博物館で公開されているティラノサウルス類の骨と見られる化石

【三笠】北大と三笠市立博物館の研究グループが、2年前に芦別市内で発見された化石が肉食恐竜ティラノサウルス類の尾椎骨(尻尾の骨)の可能性が高いと発表してから1カ月余り。化石を展示する同館の来場者は増え、三笠市内の企業は新たな商品開発の起爆剤になると注目する。過去には市内で出た化石がティラノサウルスと類推され、後に誤りと判明した例もあるが、研究者は「今は研究精度が上がり、ティラノサウルス類の可能性が高い」として周辺調査を続ける方針だ。

化石モチーフの商品検討

エゾミカサリュウの復元模型

エゾミカサリュウの復元模型

発表は6月20日に同館で行われ、市に寄贈された化石は同23日から一般公開。同館の7月末までの今年の来場者は約1万4800人で、前年同期より約1500人多い。加納学館長は「化石が博物館に立ち寄るきっかけになっているのでは」とみる。

映画にも登場するティラノ類の知名度に、市内の経済関係者も関心を寄せる。地場野菜を使った加工品などを製造・販売する「ぷろぐれす」の武田悌一代表は「全国的にも注目度が高く、恐竜化石をモチーフにした商品開発も検討したい」。市商工会も「地域資源が増えた。ジオパークの認定商品として登録されれば」と観光の目玉としての活用を期待する。

桂沢湖畔に立つ恐竜像。当初はエゾミカサリュウの復元模型として建てられた

桂沢湖畔に立つ恐竜像。当初はエゾミカサリュウの復元模型として建てられた

三笠は1970~80年代に「恐竜ブーム」にわいた。76年に市内の桂沢湖畔で発見されたエゾミカサリュウの化石が、形状から道内初のティラノサウルス化石と推測され、翌77年には国の天然記念物に。2本脚で立つ恐竜のキャラクター「リュウちゃん」の看板が市内各地に掲げられ、81年には桂沢湖畔に高さ約7メートルの恐竜模型が建てられた。

エゾミカサリュウがティラノではなかったと知られたのは89年。夜の報道番組が「実は海トカゲの仲間」と報じた。2008年には市立博物館の学芸員が、海生爬虫(はちゅう)類モササウルスの新種「タニファサウルス・ミカサエンシス」だと発表した。

この経験から市民の中には「今回は大丈夫か」といった懐疑的な見方もある。研究メンバーの小林快次北大総合博物館准教授は「1個の化石で断定はしづらいが、ティラノサウルス類ではないと否定される要素もない」と話し、発見場所周辺の調査などを進める計画だ。(山口真理絵)

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