• こどもホスピス、全国に 理解広げるオンラインサミット 開設目指す北海道など意見交換

    小児がんや難病などの命を脅かすような病気や重い障害がある子どもとその家族のための在宅支援施設「こどもホスピス」。発祥地の英国には約50カ所あるが日本はわずか3カ所。市民の理解を広げて施設の普及を目指す「全国こどもホスピスサミットin福岡」が、オンラインで開かれた。既存の3施設と開設を目指す北海道など四つの市民団体=表=が、活動内容を報告し、各地に広げるための課題などを話し合った。

    サミットは、福岡、横浜で開設を目指す二つの市民団体が2月下旬に開いた。2018年の横浜、19年の札幌に続き3回目。新型コロナのため、福岡と各地をオンラインでつないで開いた。3施設と4団体の関係者、支援者、関心ある市民ら約150人が参加した。

    活動報告では、北海道こどもホスピスプロジェクト代表理事の佐藤貴虎さん(49)=旭川大短大部教授=が「子どもとその家族が、安心してくつろぎ、楽しみ、学び、その子らしく過ごせる場を、北海道に、まずは札幌に1カ所つくりたい。土地や建物はこれからだが、22年度中には仮の建物での活動も始めたい。地域の支えで運営するホスピスの実現にお力添えを」と支援を呼びかけた。

    3施設・4団体の代表者が活動を報告し課題などを話し合った、全国こどもホスピスサミットのシンポジウム。
    上段左が、北海道こどもホスピスプロジェクトの佐藤貴虎さん

    寄付や助成で運営

    横浜市では国内4番目のホスピス建設が進んでいる。オープンは21年秋。横浜こどもホスピスプロジェクト代表理事の田川尚登(ひさと)さん(63)は「14年から寄付3億円を目標に活動を続けてきた。土地は横浜市による30年間の無償貸与で、建物と施設運営は寄付や助成金で賄っていく。数多くの寄付者の思いが詰まったこのホスピスで、子どもと家族のささやかな願いをかなえたい」と抱負を語った。

    20年に設立した東京こどもホスピスプロジェクト。代表理事の佐藤良絵さん(47)は3年半前、19歳の息子をがんで亡くした。他界前、自宅を訪れた米国在住の親類から「日本にはこどもホスピスはないのか」と聞かれ、その存在を知り、活動を始めた。東京都や国への働きかけや講演会などを開く。「誰もが孤独に陥ることなく、笑顔で過ごせる居場所を、東京の各地域につくりたい」と話した。

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    地域支援に課題も

    新型コロナによる影響も話題に上った。大阪市のTSURUMI(つるみ)こどもホスピスでは、子どもが集まる行事を中止し、利用家族の受け入れも一時は通常の3組から1組に減らした。各種のイベントがなくなったことで寄付が集められず施設を運営する財政が大きく揺らいだという。ゼネラルマネージャーの水谷綾さん(52)は「オンラインを活用して、子どもが参加できるイベントを開いたり、クラウドファンディングで緊急支援を呼びかけたり、と新たな展開を始めている」と報告した。

    課題として、地域の理解と支援を広げる難しさも挙がった。「住民には、地域にいる病気を抱えた子どもと家族の姿がなかなか見えない」(横浜・田川さん)、「遠回りに見えるが、地道に、丁寧に、各団体が(ホスピスの必要性を)伝えていくことが大切ではないか」(北海道・佐藤さん)などの悩みや意見が出た。

    今回のホスト役、23年のホスピス開設を目標に活動する、福岡子どもホスピスプロジェクトの代表理事、浜田裕子(ゆうこ)さん(60)が「私たちは地域の皆さんとともに 子どものいのちの輝きと 家族のあたりまえの日常を 社会とともに支えます」とのサミット福岡宣言を読み上げて、締めくくった。(編集委員 岩本進)

    こどもホスピス
    1982年に英国で誕生した「ヘレンハウス」が第1号。その後、世界各地に広がり開設されている。命を脅かすような病気や重い障害がある子の「遊びたい」「学びたい」などの思いをかなえ、その子らしく生きることができて、家族も安らぎが得られる在宅支援施設だ。自宅と病院の中間的な存在で、日中に通うデイケア、何日か滞在するショートステイ、イベントやレクリエーション、終末期や遺族のケアなどを提供。英国をはじめ多くの施設は全て寄付で建設、運営されている。

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