• <新型コロナと生きる> 妊婦のワクチン接種「まず相談」

    「不確かな情報をうのみにせず、国や専門学会などの最新情報を参考にしてください」と話す山田秀人理事長
    新型コロナウイルスのワクチン接種が道内でも医療従事者から始まった。国は、妊婦のワクチン接種について「接種の『努力義務』対象から除外する」としているが、日本産婦人科感染症学会の山田秀人理事長(手稲渓仁会病院産婦人科不育症センター長)は「接種を制限しているわけではなく、現時点で接種に大きな問題はないと考えられる」と指摘。「医師からしっかり説明を受け、納得して接種してほしい」と話している。

    特段の懸念ないが12週までは避けて
    日本産婦人科感染症学会・山田理事長に聞く

    ――妊婦は新型コロナのワクチンを接種できるのか、よく分からず不安を感じている人は少なくありません。

    「妊娠中の方は食事など生活のあらゆる面で赤ちゃんへの影響を考えると思います。今回のワクチンに対しても不安に感じてしまうのは当然のことだと思います。国の『努力義務の対象から除外』とは、このワクチンが妊婦に危険だからという理由ではなく、妊婦の治験データが少なく、安全性や有効性の評価がまだ十分ではないためです」

    「希望すれば妊婦も接種可能です。各国の見解や対応は分かれますが、米国は妊婦を除外すべきではないとし、イスラエルは積極的な接種対象としています。一方、英国やカナダは十分な臨床データがないとして推奨していません」

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    ――妊婦はどう判断したらいいのでしょう。

    「今回のワクチンは人工遺伝子を用いたメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンと呼ばれるもので、これまでにない新しいタイプのワクチンです。中長期的な副反応はまだ不明ですが、mRNAが胎盤を通って赤ちゃんにまで届くことはないと考えられます。海外の使用経験などからも現時点で特段の懸念が認められているわけではありません」

    「ただ、妊婦一人一人の背景は違うので、まずは主治医とよく相談してください。日本産婦人科感染症学会は1月25日に妊婦向けの提言を出しています。医療従事者など感染リスクの高い妊婦は接種を考慮すること、胎児の器官形成期の妊娠12週までは接種を避けること、母児管理できる産婦人科施設などで接種を受けること―などです。接種について判断する際の参考にしてほしいと思います」

    ――授乳中の人の接種はどう考えたらいいですか。

    「授乳中の女性に対するワクチンの治験データも十分には蓄積されていません。ですが、mRNAが乳腺を通って母乳に出てくることは考えにくく、ワクチン接種により、新生児への悪影響や授乳に有害な変化をもたらすことはなさそうなので、感染リスクの高い人は接種を考慮してください。ただ、ワクチン接種に伴うアレルギーなどの副反応の可能性もあるため、場合によっては数日程度、授乳を控えることを検討するのもいいかもしれません」

    ――昨年9月から厚生労働省の研究班代表として、日本で新型コロナに感染した妊婦の実態調査を進めています。現段階で分かったことを教えてください。

    「2月19日の研究班の最新報告では、1月末までに全国で計116例の妊婦感染が確認され、うち人工呼吸器の装着が必要な重症例は2例、日本人の死亡例はありません。母子感染率は1.9%で、重症の新生児感染はない、というのが現状です。日本では現時点で新型コロナにより妊婦が重症化しやすいという報告はありません。昨年11月に米国で妊娠は重症化リスクであり、早産リスクが高いかもしれないとする発表がありましたが、死亡率は同年代の妊娠していない女性とほぼ変わりません」

    ――あらためて日常で気をつけることは。

    「新型コロナに限らず、妊婦が肺炎になった場合は妊娠していない時に比べ、特に妊娠後期において重症化する可能性があります。密閉、密集、密接の3密を避け、マスク着用と手指消毒といった普段からの感染予防を心がけてください」

    取材・文/根岸寛子(北海道新聞記者)

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