一から分かる不妊治療 夫婦の5.5組に1組経験

写真はイメージ(polkadot / PIXTA)

夫婦の5.5組に1組が経験している不妊治療。菅義偉内閣が不妊治療の保険適用拡大を重点施策に掲げたことで注目を浴びている。ただ、不妊は当事者にとっては深刻な悩みだが、当事者以外には、あまり実態が知られていないのが実情だ。不妊治療の現状と課題をまとめた。

原因は? 加齢影響 男女ともに

不妊症は、妊娠を望むカップルが、避妊せずに性生活を送っているにもかかわらず、1年たっても妊娠しない状態をいう。原因はさまざまで、検査で原因となる病気が見つかることもある。女性の場合は無月経や卵子(卵胞)がうまく育たないなどの排卵障害、子宮内膜症などが代表的で、男性では精子を運ぶ精管が詰まる精管閉塞(へいそく)や、精子に何らかの問題がある、などが挙げられる。

世界保健機関(WHO)の調査では、原因が女性のみにある場合が41%、男性のみが24%、男女両方にある場合が24%、原因不明が11%。約半数に男性が関係しているが、厚生労働省研究班の2015年調査(不妊治療に取り組む男女約330人対象)では、原因を調べる不妊検査で女性の結果が分かるまで、男性が検査を受けなかった例が約47%と高かった。不妊は女性だけの問題との誤解や、男性の当事者意識の低さなどが理由と推測される。

生殖医療専門医(4月現在道内30人)として札幌市内の複数の医療機関で診察する遠藤俊明医師(札幌医大非常勤講師)は「道内の不妊治療の現場でも治療を女性任せにするカップルは少なくない。2人で検査や治療に取り組むことが大切」と話す。

ただ、不妊の多くは加齢の影響を受けているとされる。女性は年齢を重ねるにつれて妊娠しにくく、流産しやすくなり、男性は精子の状態が低下するからだ。遠藤医師は「年齢を重ねることにより妊娠率は徐々に低下していく。赤ちゃんが欲しいと思っているにもかかわらず、なかなか妊娠しない場合は、1年という期間にとらわれず、早めに専門の医師などに相談してほしい」と話す。

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治療法は? 効果見ながら3段階

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