• 地域医療、見守り36年 真駒内の小児科院長阿部さん引退 親しまれた「おじいちゃん先生」

    「大きな病気をせずに続けてこられて良かった」と振り返る阿部院長

    「真駒内のおじいちゃん先生」として、長年地域で親しまれてきた札幌市南区の阿部小児科医院(真駒内緑町1)の院長阿部和男さん(74)が引退を決めた。医院での診療はすでに休止しており、来年3月に閉院する。開業して36年。大勢の子どもたちを診てきた阿部さんは「子どもが元気になっていく姿が一番うれしかった」と振り返る。

    阿部さんは夕張市出身。北大医学部卒、同大学院修了後、天使病院や北海道がんセンターなどで小児科医として勤務。1984年9月に同医院を開院した。

    真駒内には転勤族も多く、親などが近くにおらず「子どもの様子がいつもと違う」と慌てて駆け込む若い夫婦もいた。「孫が何となく元気がない」と心配して訪れた祖父母や、せき込む子どもや夜泣きし続ける乳児を心配して夜中に「どうしたらいいの」と電話で相談する保護者もいた。

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    阿部さんはどんな時でも「病気の治療だけではなく、親や祖父母の不安も取り除けるよう心がけた」と話す。子どもの病気や養生の仕方、時には親の役割まで、納得できるよう分かりやすく話した。「核家族化でお年寄りの知恵を借りられない人も多い。育児に苦労しているお母さんを慰め、励ますことができれば」との思いだった。

    通院していた子どもの中には「阿部先生のようになりたい」と医師の道を志し、現在医学部に在籍する人もいる。子どもの時に真駒内に住んでいた清田区の会社員男性(50)は親子2代で通った。「いつも丁寧に説明してくれ、全幅の信頼を置いていた」と話す。阿部さんも「地域との近さはマチ医者ならでは。知り合いも随分増えた」と笑う。

    引退を決めたのは開院36周年を迎えた9月1日。新型コロナウイルスの感染拡大後、マスクを着けながら診療を続けていたが「息苦しく、診療が終わるとぐったりしてしまう」と体力的な限界を感じて、「自分の体が健康なうちに辞めよう」と決心した。

    学校での健診などを除き、10月14日から同院での診療を休止。来年3月末で閉院する予定だ。同院での最後の診療を行った10月13日には、かつて通った子どもや保護者などから、多くの花束やビールが届いた。「続けてほしいという気持ちもあるけれど、長年ご苦労さまでした」という声も多くかけられた。

    開院以来、1週間以上の休みを取ったことがないという阿部院長は「今は、やり切ったという思い。これからはゆっくりして、読書を楽しみたい」と穏やかな笑顔で話す。

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