新型コロナウイルスどう防ぐ 札幌医大助教・大浦さんに聞く

新型コロナウイルスの感染拡大で短くなった夏休みが明けて約1カ月半がたち、2学期の折り返しが近づいてきた。道内では小中学生からも感染者が出ており、不安な人もいるかもしれない。札幌医大助教の大浦麻絵(あさえ)さん(46)は、正しい手洗いやマスク着用を求め、あわせて「友達がかかってしまった時は、絶対に責めたりしないで」と呼びかけている。

まず手洗い、マスク かかった友達責めないで

大浦さんは札医大の公衆衛生学講座で、うつりやすい病気を、学校などでどう防ぐか研究しています。約3年前から、「学童における感染症予防教育研究班」として講座の仲間と学校に出向き、インフルエンザ予防のクイズをしたり、小中学生の川柳やポスターのコンテストを開いたりし、感染症予防に力を入れています。

大浦さんは新型コロナウイルスについて「感染した人のくしゃみやつばを直接浴びたり、ウイルスが付いた場所や物を、手で触った時は特にうつりやすい」と教えてくれました。ただ「すれ違ったり、体に触れただけで感染するわけではないし、感染してもきちんと療養して体からウイルスがなくなれば、誰かにうつすことはない」とも。落ち着いて行動することも大切です。

学校生活では、どう防げばいいでしょうか。大浦さんが一番に挙げるのは「手洗い」です。ポイントは指先の洗い方。物をつかみ、ドアノブやボタンなどに触るため、指にはウイルスが付きやすい。大浦さんは「たくさん泡を立て、意識して丁寧に洗って」と呼びかけます。

人は一日中さまざまな行動をしており、少し動くたびに手を洗うわけにもいきません。洗うタイミングとして大事なのは《1》外から学校や家に着いた時《2》ボールやドアなどみんなが触る場所や物を触った時《3》ごはんの前《4》掃除の後―の四つです。

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マスクは、つばやくしゃみを外に飛ばさない効果があります。だから「1人で本を読む時や、周りと距離をとって運動する時などおしゃべりしない時はつけなくても大丈夫」と大浦さん。学校では「人が近くにたくさんいる時」「友達や先生とおしゃべりする時」などにマスクをしましょう。

また、休み時間は、声をかけ合って5分ほど換気することも大切です。

ただ、どんなに気をつけても100パーセントの予防はできません。感染者には「すごく用心していたのに感染した」「どこでかかったのか全く分からない」という人が大勢います。大浦さんは「自分も知らないうちに感染することがあるかもしれない。もし友達が病気になっても、責めたりいじめたりせず、優しい気持ちを持って」と話しています。

「ラビット・ユキネ」 新しい生活様式PR

ピクトグラム(絵文字)

ピクトグラム(絵文字)

道内の小中学校で、エゾユキウサギのキャラクター「ラビット・ユキネ」が新型コロナの感染予防を呼びかけている。バーチャル歌手「初音ミク」で知られる、札幌のIT企業クリプトン・フューチャー・メディアがデザインした、ピクトグラム(絵文字)だ。

北海道教育委員会(道教委)が制作を依頼し、9月からホームページ上で公開している。

ユキネは「できるだけ広がろう」「マスクを忘れずに」など予防方法や、「いじめ・差別はやめよう」「我慢しないで相談しよう」といった学校生活上の注意なども呼びかけている。

学校の教室や廊下で掲示してもらう。道教委は「かわいいイラストで『新しい生活様式』を楽しく学んでほしい」としている。

取材・文/斉藤千絵(北海道新聞記者)

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