小樽協会病院 妊産婦の救急診療再開へ 新生児も受け入れ

2018年7月に分娩(ぶんべん)の取り扱いを再開して以降も、生命に危険のある母体の他の医療機関からの救急搬送に対応できなかった小樽協会病院(住ノ江1)は27日から、緊急時の受け入れを再開することを決めた。課題だった助産師不足が解消された。これにより緊急の際に札幌への搬送を余儀なくされていた状況が改善、周産期医療体制が充実する。

助産師不足を解消

受け入れが想定されるのは、切迫早産や母体が大量出血した場合などで、新生児の無呼吸状態や肺炎感染などにも対応する。夜間や妊娠36週未満の早産児は引き続き難しい。

同病院は、出産前後の時期の高度な医療を扱う管内唯一の「地域周産期母子医療センター」。後志管内では分娩ができるのは他に「おたるレディースクリニック」(小樽市)と「倶知安厚生病院」(倶知安町)があるが、これらの医療機関で緊急事態が置きた場合、本来なら小樽協会病院でまず対応が求められた。

ただ、同病院は15年7月に産科医不足で分娩の取り扱いを休止。18年7月に札医大からの医師派遣を受けて再開したが、助産師が少なかったことなどから他の機関からの救急搬送受け入れの休止を継続していた。

同病院によると、分娩再開当初7人だった助産師は現在17人。リスクの高い妊婦の分娩も同病院で月2、3件扱えるようになったといい、産婦人科主任医長の黒田敬史医師は「助産師の確保やスキルアップも順調に進んだ」と話す。

同病院は15年7月以前は年400~500件の分娩実績があり、18年7月の再開後は1年目93件、2年目127件のお産を取り扱った。今回の受け入れ再開で、緊急時の札医大などへの搬送に比べ、30~45分程度早く高度な医療措置を提供できる体制となる。市内では妊婦がお産直後に大量出血した際などに小樽市立病院が受け入れるケースが現在もあるが、黒田医師は「妊娠のリスクを防ぐ予防的な医療や産後ケアにも力を入れ、地域の周産期医療を充実させていく」と話す。(有田麻子)

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