ボロボロ崩れる石を見つけたよ

空き地で見つけた石を手ではがす遠藤光君(本人提供)

空き地で見つけた石を手ではがす遠藤光君(本人提供)

読者のみなさんの疑問を取材する「みなぶん特報班(みんなで探る ぶんぶん特報班)」が、こどもたちから質問を募った「こどもみなぶん」に、さまざまな取材リクエストがLINEで寄せられました。北海道新聞の記者がこどもたちの「なぜ」を調べ、その結果を紹介します。

解けた雪でぬれたり乾燥したりを繰り返したのでは

オホーツク管内遠軽町の小学2年生、遠藤光(えんどう・ひかり)君くん(7)は、家の前の空き地で見つけたこぶしほどの大きさの石について質問をくれました。「手で壊せたり、ほかの石に当てると割れたりするのが不思議でした」。昔から「石頭」という言葉があるように、石はとても硬いイメージです。ボロボロと崩れてしまうとは、どんな石なのでしょう。

世界のさまざまな石を展示している「山の手博物館」(札幌市西区)の内山幸二(うちやま・こうじ)館長(68)に取材しました。内山さんは、光君の送ってくれた写真を見ながら、その地域にどんな種類の石があるのか記した地質図で遠軽周辺を調べました。

世界の石を展示する「山の手博物館」

世界の石を展示する「山の手博物館」

その結果、「砂岩や泥岩の可能性があります」と教えてくれました。砂岩は砂、泥岩は泥が長い時間をかけて固まった石です。もともとは硬いそうです。

では、なぜボロボロに崩れるのでしょうか。

光君の投稿にヒントがありました。「空き地は雪捨て場になっています」。内山さんは「雪と一緒に、どこからか運ばれてきた石が、解けた雪でぬれたり、乾燥したりを繰り返し、崩れやすくなったのでは」と言います。なぜでしょう。

水は氷になると膨れる性質があります。なので、石の割れ目に染み込んだ水が凍ると膨らんで、その時に割れ目も広がります。

春になると、舗装された道路に大きな穴が空いているのも、道路に染み込んだ水が凍ったり解けたりして、少しずつ隙間が広がり、もろくなったためです。

石が風化する仕組み

別の理由も考えられます。石には、「鉱物」と呼ばれる、さまざまな硬い物質が含まれています。砂岩や泥岩には、水に触れると膨らむ鉱物が入っています。

内山さんは「地面や崖などに埋まっている時は硬く安定した状態だった岩が、なにかのきっかけで割れて小石になって地表に出てきた後、水に触れて一気に割れやすくなることがあります」と教えてくれました。

このように、石が自然の中で砂や土に変化していくことを「風化」と言います。砂岩や泥岩は、風化しやすい石の一つだそうです。

内山さんは「どんな種類の石かは、実際には見てみないと分からないので、石の図鑑で調べてみてください」と話していました。

遠軽町にある「瞰望岩」

遠軽町にある「瞰望岩」

ところで、光君の住んでいる遠軽町には、有名な「瞰望岩」がありますよね。高さ78メートルもある、あの大きな岩は、どんな石なのでしょう。遠軽町の地形や地質の歴史が分かるかもしれません。ぜひ、調べてみてください。(門馬羊次)

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