• 一斉休校1カ月 保育現場へとへと 募る感染不安、マスクも不足

    感染対策として、園児に手洗いを指導する保育士=札幌市東区の光星はとポッポ保育園
    新型コロナウイルスの感染拡大を受けた道内小中学校などの一斉休校から、1カ月。この間、共働きやひとり親家庭の子どもの「受け皿」として、原則開所を求められてきた保育所や学童保育は、感染の不安に加え、消毒液やマスクなどの資材や人手の不足が続き、疲労の色を増している。専門家は「多様な家庭環境を支えてきた保育現場にしわ寄せがきている」と指摘する。

    「この保育園から感染者が出たらという不安が頭から離れない」。光星はとポッポ保育園(札幌市東区)の柴野邦子園長(58)は、疲れをにじませる。

    同園は、0歳から小学校入学前までの乳幼児96人を預かる。子どもを預けて働かないと生活が厳しい家庭も多い。柴野園長は「家庭保育が難しい人を支えるのが保育所の使命」と通常通り開園を続けるが、道内外の保育所で新型コロナウイルスの感染者が出るたびに不安は募る。消毒や手洗いなど、感染防止対策は徹底しているが、「子どもに2メートル以上離れて遊ぼうと言っても難しい」と明かす。

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    資材不足も大きな悩みだ。手洗い用の消毒液はメーカーで品薄状態が続き、今月分がまだ納入されず、在庫は残り少ない。政府が支給する予定の布マスクはまだ届かず、ドラッグストアを何軒も回って購入した使い捨てマスクでやりくりする。柴野園長は「いつまでこんな状況が続くのか、先が見えないのがつらい」。

    自身も小さな子どもを抱えながら、保育現場で働く職員も多い。紋別市の認定こども園で働く看護師三木梨絵さん(38)は、夫と小学4年、1年、幼稚園の娘3人の5人暮らし。幼稚園の娘は職場に連れてきているが、感染の不安から、小学生の娘2人は学童保育に預けずに自宅で過ごさせている。夫が昼休みに帰宅して様子を見るほか、新しく買った遠隔監視カメラで、2人の様子を確認しているという。三木さんは「一緒にいてあげたいけど、働かざるを得ない保護者の家庭状況を知っているだけに、私は休めない」と話す。

    全国より早く全小中学校の一斉休校を始めた道内で、子どもの世話をする保護者が出勤できずに人手不足となったことから、厚生労働省は2月27日、都道府県や政令指定都市、中核市に保育所と学童保育の原則開所を求める通知を出した。

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    札幌市西区の学童保育所「じゃりん子パワー」は、平日の受け入れを正午から午前8時に早めた。開所時間に合わせて職員を配置する必要があるが、配偶者控除を受けられる「年収103万円以下」の範囲で働くパート職員が大半で、正職員2人が長時間勤務し対応している。正職員の関川寛二郎さん(37)は「保育料と市の助成金で運営費はギリギリ。正職員を増やすのは難しい」と訴える。

    札幌国際大の品川ひろみ教授(保育社会学)は「ウイルスの感染拡大という災害のような状況で、保育現場が多様な働き方の進んだ社会を支えていることが明らかになった」と指摘。「改善が進んでいない保育士の待遇面など、現場を取り巻く環境の整備に目を向けてほしい」と話す。

    取材・文/川崎学(北海道新聞記者)

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