<聞きたい 新型コロナウイルス> 子どもは不安 寄り添って 道教育大札幌校教授・平野直己さん

ひらの・なおき 東京都出身。東京都立大大学院博士課程単位取得中退。臨床心理士。札幌少年鑑別所の心理技官として1995年に北海道へ。道教育大岩見沢校を経て2009年から札幌校勤務

ひらの・なおき 東京都出身。東京都立大大学院博士課程単位取得中退。臨床心理士。札幌少年鑑別所の心理技官として1995年に北海道へ。道教育大岩見沢校を経て2009年から札幌校勤務

新型コロナウイルス感染拡大への懸念から、小中高校の臨時休校が続き、家で過ごす時間が長くなっている子どもたちも多いでしょう。中にはニュースやインターネットで発信される情報を見て、不安に思っている子もいると思います。

家庭内で「いま何が起きているのか」を話す時、子どもを怖がらせないようにすることが大切です。大人たちがいま、対策に努めているけれど、効果が出るには少し時間がかかることを伝えてください。一緒に手洗いやせきエチケットといった予防をしようと声を掛けましょう。

家の中では、できるだけ通常の生活を送ることを心がけてほしいと思います。保護者は各家庭の事情に合わせて、子どもがのびのびする方法を考えてみてください。家族の中でユーモアを忘れず、普段以上に笑うことを意識すると良いでしょう。

長時間家の中にいることで、「心の換気」が悪い状態になっている子どももいるのではないでしょうか。家でゴロゴロしている子も多いと思いますが、怠けているのとは違う状態なのかもしれません。

不安な時は目的を持った行動がしにくくなります。はっきり見えると怖いから、世界をぼんやり見ようとします。腹痛を訴えたり、言動が赤ちゃん返りしたりする子もいるでしょう。きょうだいや親とくっつきたがったら、そうさせてあげてください。おおらかに接することが大切です。

外遊びもお勧めです。家の周りを散歩したり、広いところで大声を出したりして気持ちを和らげてみても良いでしょう。また料理や本を読んだり、勉強以外のことにも挑戦してほしいと思います。親子で同じ本を読んで意見交換するなど家族のコミュニケーションの時間に使ってみてはどうでしょうか。

新学期が始まるまでまだ時間があります。子どもの中には、学校を「安全基地」と位置付けている子もいます。教員をはじめ、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーら、みんなで見守ってほしいです。

子どもを置いて仕事をしなければいけない親も、不安でつらい状況でしょう。子どもは何歳であっても親の感情状態に影響を受けるので、大人同士でねぎらう言葉かけも大事です。

新学期を迎えた時、学校に行きたくないという子もいるでしょう。その場合は無理せず、休ませてあげてください。大抵は時間とともに普段の生活に戻りますから。そうでなければ専門家に相談してください。(聞き手・田鍋里奈)

この記事に関連するタグ

Ranking

  • すべて
  • ニュース
2024
4/24
WED

Area

北海道外

その他