• 共感、安心感で不安軽減 新型コロナ、たまるストレス

    前向き思考、気分転換を

    新型コロナウイルスの感染拡大の影響で日常が一変し、ストレスや不安を抱える人が増えている。気分転換しようにもイベントは相次いで中止されている上に、週末の外出も自粛が続き、発散するのは難しい。子どもと大人それぞれの対処法を専門家に聞いた。

    札幌市の女性(36)は最近、小学1、2年の娘2人がささいなことでけんかするようになったと感じている。「混雑した場所には連れて行けないし友だちとも遊べない。2人ともストレスがたまっているようです」

    事故・災害時の心のケアに詳しい札幌学院大の菊池浩光教授によると、子どもたちが新型コロナウイルスの影響で感じるストレスや不安の背景は《1》感染への恐怖《2》外出制限や友だちと遊べない不自由さ《3》臨時休校で親に負担をかけてしまうのではと考える―などが挙げられるという。

    ストレスは心身や行動に表れる。頭痛や食欲不振、動悸(どうき)、だるさなどの症状が出るほか、イライラしやすくなったり集中力が落ちることも。

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    こまめに伝える

    対応について菊池教授は「こまめに安心感を与えること」という。まず、家庭でしっかり手洗いし定期的に換気するなど、感染症対策をすることが安心感につながる。子どもが不安げな時はじっくりと話を聞き「そうだね」「不安だよね」と共感の言葉を掛ける。

    社会の閉塞(へいそく)感や先行きの不透明さから起きる不安もある。やり場のない気持ちを身近な人にぶつけてしまい、きょうだいげんかが増えることも。「子どもにも漠然とした不安があることに思いを巡らし、『ずっと家にいたりしたら誰でも気持ちが苦しくなるんだよね』と受け止めてあげてください」。その上でストレスを発散させるために、運動を促したり一緒に散歩に出かけるのもよいという。

    一方、臨時休校によって保護者も仕事を休むなど対応に追われているが、子どもに「あなたのせいで仕事に行けない」「家事が増える」という言葉は禁句だ。

    子どもの元気を後押しする関わり方も大切になる。「人は誰かの役に立ったと感じた時に元気になる。子どもも親や家庭を助けたいと思っている。お手伝いや努力して頑張っている姿を見たらすかさずほめてください」とアドバイスする。

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    抑うつを予防

    新型コロナウイルスについて世界保健機関(WHO)が「パンデミック(世界的大流行)」を表明し、早期に終息するのは難しくなってきた。経済状況は悪化し大人にも不安が募る。

    平時ならイベントの参加やスポーツ観戦、旅行など気分転換する方法はたくさんあるが、ライブは次々と中止になり、プロ野球の開幕は延期、各地の文化教室は休講されている。

    こうした状況について、札幌国際大の橋本久美教授(臨床心理学)は「日常から楽しみが失われ、うつになりやすい環境がつくられている」と指摘する。

    対処法として、思考の枠組みを変える「リフレーミング法」というのがある。ネガティブ(後ろ向き)な考え方をポジティブ(前向き)にすることだ。例えば、財布に100円ある場合、「100円しかない」ではなく「100円もある」と考える。「物の見方を楽観視する努力を意識的にして、悲観的な気分を変えましょう」

    自分の考え方がネガティブになりすぎていないか、客観視するのも大切だ。道内の感染者は16日時点で152人だったが、このうち66人は治療を終えた。感染者の数だけでなく、治った数にも目を向けたい。

    自宅でも普段できないことに挑戦し、気分を変える。いつもと違うジャンルの読書やワンランク上の料理、インターネット動画を使ったダンスなどがある。

    橋本教授は「心の余裕を保つためにも、日常生活に遊びを取り入れながら、時折、自分の考え方がネガティブになりすぎていないか確認してください。それが抑うつの予防にもつながります」と話している。

    取材・文/上田貴子(北海道新聞記者)

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