• 出産へじっくり支援 助産院 旭川で微増、3軒に

    オハナ助産院の妊婦検診でおなかに紙を当てながら、胎児の成長の様子について説明を受ける山県さん(左)=今月10日
    旭川市とその近郊で、自宅や助産院での出産が妊婦の選択肢として根付いている。道内ではお産を扱う助産院が減少傾向にある中、旭川ではこの1年で2軒から3軒に増えた。お産できるのは妊娠経過が良好な妊婦など条件はあるが、妊産婦の産前産後ケアの重要性が高まる中、助産師と信頼関係を築きながら赤ちゃんを迎える安心感が妊婦の心をつかんでいる。

    産後ケアでも安心感
    検診必須 医師とも連携

    「これ、頭ね」。10日、2人目を妊娠中の富良野市のヨガインストラクター山県香織さん(33)の自宅で、出張専門のオハナ助産院(旭川市西神楽南2の1)の高槻友子院長(62)が健診した。

    妊娠27週6日目。尿検査や体重、血圧測定などをこなしながら1時間半ほど会話を交わす。家事は誰がするのかなど産後の具体的な過ごし方を共有したり、長男の幼稚園での出来事など、話題は生活に関すること全般に及ぶ。

    助産師は、正常分娩(ぶんべん)の介助や母子の健康指導ができる国家資格。上川管内で助産師が分娩を扱う助産院は旭川市内の3軒のみで、帝王切開など医療行為が必要な場合は、連携する嘱託医が担当する。旭川市保健所によると、市内で2017年に生まれた子どもは2201人で、うち13人が助産院や自宅で誕生した。

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    オハナでは、車で1時間以内を条件に、出産は原則1カ月に1人を受け入れる。2010年から10年間で46人が出産し、うち6割以上が山県さんのように旭川市外の妊婦だ。

    山県さんは1人目も自宅出産した。助産師や母親、夫が見守る中、「代表して自分が産んでいるという一体感があった」と振り返る。産後も、育児で行き詰まると電話で相談したり、オハナで出産した人の集まりに参加したりとつながりは続き、「2人目も迷わずオハナを選んだ」という。

    ただ、両親からは「『何かあったらどうするの』と、呪文のように言われた」と苦笑い。高槻院長は「『何か』は絶対にあってはならない。医療機関での検診も必須で、経過が良好でなければ自宅で産めないと、最初にはっきりと伝えている」と強調する。

    助産院は、病院で出産する場合も健康相談などで利用することができる。このため、母親を支える「産前産後ケア」でも助産師の存在感は増している。

    助産院あゆるで出産を終え、ゆったりとした時間を過ごす親子=昨年11月
    助産院あゆるで出産を終え、ゆったりとした時間を過ごす親子=昨年11月

    唯一入院施設がある助産院あゆる(永山8の15)には、他の病院で出産する妊婦から「帝王切開と決められたが自然に産みたい」「産後の精神面を支えてほしい」などの電話相談が多く寄せられる。その都度、どのように医療機関と良好なコミュニケーションを取り、悔いのない出産をするかを助言する。

    産後の母親を対象に「お産の振り返りの会」も不定期開催する。出産場所に関係なく参加でき、毎回すぐに定員が埋まる盛況ぶり。一人一人の出産話に全員で笑ったり泣いたりと共感し合う会で、終了後は参加者の顔がすっきり晴れ晴れとしているという。北田恵美院長(57)は「助産院は女性と子どもを支える場所なので、とことんお母さんを受け入れ、話に耳を傾けたい。お産に限らず、生きて行くために必要なこと全般に関わる場所として認知してもらえたらうれしい」と話す。

    リラ助産院(神居7の6)は18年11月に開業した。20年以上の病院での勤務経験がある藤原るみこ院長(49)は「病院での出産は退院後に妊婦さんとの縁が切れてしまいがち。継続した支援がしたかった」と説明する。出産取扱件数は4月で4件になる見込みで、「これからも助産院という産む場所のもう一つの選択肢を提供し続けたい」と力を込める。

    取材・文/高田かすみ(北海道新聞記者)

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