「おむつの処分は保育所で」国が通知 保護者ら「負担軽減を期待」、保育関係者は「処理費用が心配」

使用済みおむつを保育所の敷地内のごみ箱に捨てる保育士=札幌市内

保育所などで出た使用済みおむつの処分について、厚生労働省と内閣府は保護者が持ち帰るのではなく、保育所による処分を推奨する通知を出した。道内の保護者や保育関係者からは「負担軽減につながる」と歓迎する声が上がった一方、「処分費用などについても国が対応してほしい」(保育関係者)といった要望も出ている。

通知は1月23日付。持ち帰りをやめるのは保護者だけでなく、おむつを子どもごとに一時保管する作業などを行う保育士にとっても負担軽減につながるとしている。保管場所の確保や衛生面などが課題になる場合は、既存の感染症対策の国の補助金をごみ箱購入費用などにも充てることもできる。

おむつの処分を巡っては、昨春、大阪の民間企業が公立保育所がある全国の自治体を対象にアンケートを実施。道内は、24%の自治体で持ち帰りを行っていた。厚労省はこのアンケートで「持ち帰りなし」と回答した自治体に絞って、おむつの処分費用の負担や保護者の月の負担額などを調査した。

道保健福祉部によると、道内分は、60市町村483施設を調査した。おむつを施設で処分していると回答した92.5%のうち、運営費として充てられる公費でやりくりしている施設は60%、保護者から実費を徴収している施設は16.4%だった。実費を徴収している施設の保護者の月の負担額で、最も高額なのは月千円台で、最も多かった価格帯は300円台で15施設だった。

保育所でのおむつ処分について、これまで厚労省の規定はなく、処分方法や費用は各自治体や保育所に任せられていた。今回の通知でも見解はなく、対象は保育所や認定こども園などで、幼稚園は含まれていない。

現在、公立保育所でおむつを持ち帰りしている苫小牧市は、通知を受け「保育所で処分できるよう検討するが、処理にかかる財源が心配」と明かす。

同市内では、おむつを施設で処分している私立保育所もあり、公立保育所に子どもを通わせている30代の女性公務員は「公立私立を問わずどの保育所でも、保護者が平等な支援を受けたい」と期待する。

札幌市私立保育連盟の菊地秀一会長(51)も「国は現場任せにせず、ガイドラインを作って処分方法や費用負担への具体的な対応を打ち出してほしい」と話す。運営費でやりくりする保育所もあるが、地域や施設によっては現場の努力では難しいという。

また、通知で幼稚園が対象外な理由について文部科学省は、園児が3歳以上でおむつをしている子どもが少ないことなどを挙げる。これに対し、北海道私立幼稚園協会の近藤宏会長(63)は「近年は3歳児の多くが入園当初におむつをしている印象」とし「実態を考慮し、幼稚園への方針も示してほしい」と述べた。

北海道文教大こども発達学科教授で、認定こども園の園長でもある小田進一さん(72)は「おむつの処分にとどまらず、保育の質の向上に結びつく政策に取り組んで」と力を込めた。

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