• マンションのトラブル、どう対処 <騒音>どこまで我慢すべき?

    マンションなど集合住宅は、一戸建て住宅に比べ除雪や清掃の労力の少なさやセキュリティー面などでメリットがある反面、上下左右に他人が住んでいるため、近隣トラブルが起きやすいのが悩みの種。集合住宅に多いトラブルの内容や対処法について、札幌弁護士会の髙橋健太弁護士に聞きました。(報道センター 小林基秀)

    ――集合住宅のトラブルで相談が多いのは、どのような内容ですか。

    生活騒音、ペット飼育、バルコニーのマナー、ゴミ出し、違法駐車などです。これらは入居者同士のトラブルですが、マンション管理組合や管理会社と、入居者とのトラブルもあります。

    髙橋健太弁護士

    ――騒音はどんな種類の相談が多いですか。

    夜間の生活音が多いです。子どもの遊ぶ声や走り回る音、歌声やピアノなどの楽器、飲み会やテレビ観戦中の話し声や笑い声、洗濯機や掃除機の音などです。近所づきあいがあれば「これくらいのことなら」と気にならなかったり、騒音が出ていることを気軽に言えたりしますが、つきあいが全くないと比較的小さな音でも我慢できなくなるという傾向があります。

    ――そういう意味では、近所づきあいが希薄な賃貸物件の方が、分譲物件のよりもトラブルが多いのでしょうか。

    統計的なことは分かりませんが、分譲の方がトラブル自体は少ないかもしれません。ただ、賃貸の場合はいざとなれば引っ越せますが分譲の場合はそれが難しいので、深刻なケースもあると感じます。

    夜間は45デシベル以下が目安

    ――騒音は、どこまでが受忍、つまり我慢しなければならない範囲なのか、どこからやめさせることができるのか、その境界はどこにあるのでしょうか。

    環境省の基準を参考にすると、いわゆる住宅街の場合、昼間55デシベル以下、夜間45デシベル以下が一つの目安となります。あくまで参考ですが、60デシベルとは、例えば家のチャイムや普通の会話の話し声くらいのレベル、50デシベルはエアコンの室外機くらいのレベル、40デシベルは小鳥の声くらいのレベルです。もっとも、これは良質な環境を保つための基準にすぎず、この基準がそのまま受忍範囲という意味ではありません。したがって、この基準以下であれば騒音と認められないということではないので、注意が必要です。

    当該建物がどのような場所に建っているのか、騒音の内容・態様など、個々の事情により受忍範囲は変わってきます。例えば、換気扇や24時間換気等の音は、昼は気にならないけど夜に寝るときには気になる、といったこともあります。騒音の大きさ(デシベル)を計っておくことは、後に法的手段に出た際に客観的証拠として重要です。札幌市では、無料で騒音計の貸し出しをしています。裁判の証拠にしたいなら、専門業者に騒音を測定してもらうこともあります。ただし、専門業者に測定してもらう場合は一定の費用がかかります。

    マンションが立ち並ぶ札幌市内
    マンションが立ち並ぶ札幌市内。除雪の負担が少ないなど便利な反面、近隣トラブルも少なくない

    ――裁判の証拠にするため騒音の測定・録音した場合、結果的に相手の家の中の会話内容が分かってしまうかもしれません。プライバシーの侵害にはならないのでしょうか。

    騒音を測定する場合はもちろん、録音の場合も会話内容までわかることは多くないと思いますが、仮に会話内容がわかってしまう場合でも、裁判の証拠にするために録音することそれ自体に問題ありません。ただし、録音した内容をネットに流したり、正当な理由なく第三者に暴露したりしたような場合には違法となる可能性が高いので注意してください。

    ――冒頭に話された、管理組合と入居者のトラブルとは、具体的にはどのようなものですか。

    管理料未納や、その未納者が「管理会社が管理業務をしっかりやらないから払わない」と主張する事例もあります。また、共用部分からの水漏れなどで自宅に浸水被害があったのに管理組合が対応してくれないといったトラブルもあります。管理組合内のもめ事もあります。例えば役員による管理料の横領や、役員間の派閥争い、理事長を解任する、しない、といったこともあります。


    髙橋健太(たかはし・けんた)弁護士
    1983年、室蘭生まれ。札幌南高卒。北大法科大学院修了。2019年弁護士登録。趣味は、5歳と3歳の息子さんと一緒に、トミカ(タカラトミー社のミニカー)を集めること。数年前、長男にせがまれて、札幌市内で開かれた「トミカ博」に行ったら「大人の自分がはまった」。好きな車種はクラウンなどセダン型。すでに400~500台収集し、「嫁にあきれられています」。競馬好きで札幌競馬場に1シーズンに3、4回行く。好きな馬は2008年の有馬記念などG1を4勝した牝馬ダイワスカーレット。「逃げ馬が勝つ姿は美しい。最初から最後まで先頭を走る。追い付きようがない」

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