• 広げようPTA考える輪(上)神戸市立本多聞中の取り組みから

    PTA活動のあり方や課題について考えるイベント「PTAフォーラム~取り戻そう、自分たちの手に~」(実行委主催)が2019年5月に東京で、8月に神戸で開催されました。PTA問題に詳しい専門家、活動の見直しを実践してきた教員や保護者ら6人が登壇し、思いを語りました。登壇者の中から、教員、保護者の立場で神戸市立本多聞中学校元校長の福本靖さんと同中元PTA会長の今関明子さんの話をまとめました。(構成・北海道新聞社記者 片山由紀。上、下の2回、掲載します)

    福本靖さん(現桃山台中校長)

    福本靖さん
    「PTAは時代に合わせて変えていく必要がある」と語る福本靖さん

    2013年1月に本多聞中に教頭として着任し、15年から2年間校長を務めました。どうすれば学校がよくなるかを考えた結果、保護者に学校運営に携わってもらいたいと思いました。そのためには、保護者が参加しやすいPTAをつくる必要があった。それが結果的にPTA改革につながりました。

    子どものためにならない活動はどんどんやめました。例えばPTA行事への動員、保護者の研修、広報紙作成。一方で、月に1度運営委員会を開催し、役員になった保護者にいろんな意見を言ってもらう場をつくりました。校長と教頭が出席し、保護者の意見に全部答える場です。運営委員会で聞いたことが右の車輪、職員会議が左の車輪。両輪を動かしながら学校をよくしようと思いました。

    例えば家庭訪問。保護者から手間だという意見が出て、2、3年生の家庭訪問はやめました。先生たちもその分授業の準備ができ、早く帰れるようになった。ある教科の授業が遅れているという指摘を受け、担当教員を指導したこともあります。即答できないものは調査して次の運営委員会で報告します。

    運営委員会を保護者が自由に学校にもの申す場にしたら、PTA役員の立候補が増え、くじ引きで役員を選ぶ必要がなくなりました。

    よくPTAに手伝ってもらわなければ、学校行事は成り立たないといいますが、そんな学校行事はするなと教員たちに言います。行事の受け付けとかどうしても手伝いが必要であれば、その都度ボランティアを募集すればいい。何十年も前から続いている活動を踏襲してもうまくいくはずがない。時代に合わせて変えていく必要があると思います。=5月18日、東京のフォーラムで

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    今関明子さん(元本多聞中PTA会長)

    子ども3人が通った小学校では役員のなり手がおらず、毎回役員決めはくじ引きでした。「母子家庭だから」「持病があるから」とか、できない理由をみんなの前で説明させ、そういう人を除いてくじ引きをします。くじで役員になったお母さんが「やっぱりできない」と泣いてしまうこともありました。子どものためにやっているPTAでお母さんが泣いてしまう。そんなPTAなら、なくした方がいいと思いました。

    PTAが抱えているのは、活動の見直しが進まないという問題です。今の活動に意義を感じないから、不満があるから保護者が参加しないのであれば、やりがいを感じて自信を持って参加できる組織にすればいい。そんな思いで、下の双子の息子が入学した中学校でもPTA本部の副会長を引き受けました。協力してくれたのが福本教頭でした。

    今関明子さん
    「親が不幸になるようなPTAならなくした方がいい」と語る今関明子さん

    まず保護者にアンケートし、PTA活動の中で必要だと思うもの、必要だと思わないもの、自分だったらやりたいと思う活動を答えてもらいました。結果を分析すると、保護者が専門委員会の活動そのものに価値を見いだせなくなっていることが分かりました。そこで専門委員会をすべて廃止し、人手が必要な行事の受け付けやお手伝いはその都度、立候補してもらう形にしました。引き継ぎ書はつくらず、活動の内容は毎年見直すようにしました。

    月に1度の運営委員会は、管理職の教員と保護者との意見交換の場とし、役員ならだれでも参加できることにし、毎回50人以上が参加していました。

    3年目は会長を引き受けました。改革を検証し、見直す年にしたいと考えたからです。PTA活動は課題も多いですが、活動をなくしてしまうことに不安を感じる保護者も多くいます。学校や子どもが好きでPTAにかかわりたい人も、自分のことで精いっぱいでPTAどころではない人もいる。子どもを育てることに不安がある人、苦しい人も引っ張り込んで、だれも取りこぼさない組織をつくりたいと思いました。

    私たち保護者はよい意味で学校と横につながる組織でありたいし、学校にとっても保護者の窓口のような組織は必要だと思います。PTAをうまく改革して、保護者にとっても教員にとっても、学校が楽しい場になればと思います。=8月24日、神戸のフォーラムで

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