• 認定受けず新出生前診断 札幌でも1施設実施

    妊婦の血液で胎児のダウン症など染色体異常の可能性を調べる「新出生前診断(NIPT)」を、日本産科婦人科学会(日産婦)の指針に反し、認定を受けずに実施する医療機関が問題となっている中、東京のクリニックの委託を受け、札幌市内の民間クリニックも実施していることが分かった。道内でNIPTの認定外施設が判明したのは初めて。4月の開始から4カ月で20人が受けている。

    東京都港区の「平石クリニック」(平石貴久院長)が、札幌市中央区で自由診療を行っている「ゴールデンゲートクリニック」に採血のみを委託している。血液は台湾にある英国の検査会社の分析施設に送っている。

    NIPTは確定診断ではないが、採血のみで高い精度で染色体異常の可能性が分かる。胎児の異常を理由にした中絶につながりかねないため「命の選別」との議論もあり、指針に基づいて日本医学会が認定した施設(道内は北大病院と札医大病院)で臨床研究として実施している。

    しかし、日産婦の指針に強制力はなく、認定を受けなくても罰則はない。2016年から都内を中心に遺伝カウンセリングの体制などが不十分な認定外施設が出始め、妊婦の混乱を招くとして問題となっている。

    平石クリニックは、ゴールデンゲートクリニックなど全国20カ所の美容整形など普段、妊婦を診察していない医療機関と提携。これまでに全国で500人が受けたという。ダウン症など3種類の染色体異常だけでなく、指針で認めていない全染色体の異常や性別などの検査も行い、原則35歳以上とする年齢制限もない。費用は認定施設と同じ3染色体のみの検査で18万円、全染色体の場合は23万円。

    結果は妊婦にメールで通知され、指針で必須とされている遺伝カウンセリングは実施していない。希望があれば電話やメールで医師が相談に応じたり、他の医療機関を紹介したりしている。

    染色体異常の可能性を示す「陽性」の場合、羊水検査が指針で義務づけられているが実施していない。ただ、羊水検査の費用は、平石クリニックが全額負担している。実際に他の医療機関で羊水検査を受けたかどうかについて、平石院長は「個人のプライバシーに関わるため報告は受けていない」という。

    平石院長は「認定施設はカウンセリングなどで時間がかかる上、患者から予約が取りにくいという声があった。受けたいのに受けられない方が問題ではないか。産科医でなくとも、疑問があれば十分説明しており問題はない」と話している。

    取材・文/根岸寛子(北海道新聞記者)

    新出生前診断
    妊娠10週以降の早い時期に、妊婦の血液に含まれるDNA断片を解析し、胎児の染色体異常の可能性を調べる検査。国内では日本産科婦人科学会(日産婦)が指針を定め、日本医学会が施設を認定(現在92施設)。指針では高年齢の妊婦や過去に染色体異常の子を妊娠した妊婦などが対象。費用は健康保険の適用外で、羊水検査を含め約21万円。全国では2013年4月から昨年9月までに認定施設で計約6万5千人が検査を受けた。道内では17年度までの5年間に1264人が検査を受け、染色体異常が確定した人の8割が人工妊娠中絶を選んだ。

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