• こまめに水分 熱中症予防 のど乾く前に補給/汗かいたら塩分も

    夏本番―。気温が高い日が続くと熱中症になる可能性が高くなります。毎年7~8月は予防強化月間。熱中症にならないためには、正しい知識を持って「暑さを避ける」「こまめに水分を補給する」などの予防策に取り組むことが大切になります。

    「暑くなると、私たちの体は、皮膚の表面にある末梢(まっしょう)の血管を広げたり汗をかいて蒸発させることで熱を逃がし、上がった体温を下げようとします」と話すのは、札医大救急医学講座講師の上村(うえむら)修二さん(44)。

    ところが、血流の皮膚への移動や、大量の汗で水分や塩分が失われ脱水症状になることで熱中症の症状が現れます。さらに体が適切に対処できなくなると、体に熱がたまって体温が上昇し重症になります。「重症になると、命を失うこともある」と上村さん。

    子どもは特に

    日本救急医学会は、熱中症の重症度をⅠ度(現場の応急処置で対応できる軽症)、Ⅱ度(医療機関への搬送が必要な中等症)、Ⅲ度(入院や集中治療が必要な重症)の3段階に分類し、それぞれの症状や適切な対処法を挙げています=表=。

    「特に子どもやお年寄り、持病がある人は熱中症になりやすい」と上村さん。

    子どもは体重当たりの体表面積が大人より広いため「熱しやすく、冷めやすい」。冒頭に説明した発汗などの体温調節機能がまだ十分に発達していません。晴天の屋外は照り返しで地面に近いほど気温が高く、背が低い子どもは大人より暑い環境にさらされています。

    一方、高齢者は、熱を逃がす調節機能が低下しています。暑さを感知しにくくなったり、冷房をあまり効かせないなど、一般に若年者よりも室温が高い部屋にいる人が多いです。全身に占める水分の割合が低くなるため、脱水症状に陥りやすいです。

    お酒は逆効果

    では、熱中症を防ぐには―。環境省の「熱中症環境保健マニュアル2018」は「日常生活での予防は、脱水と体温の上昇を抑えることが基本」とし、六つの注意事項を挙げています。

     《1》暑さを避ける
     《2》こまめに水分を補給する
     《3》急に暑くなる日に注意する
     《4》暑さに備えた体づくりをする
     《5》各人の体力や体調を考慮する
     《6》集団生活の場ではお互いに配慮する

    暑さを避ける方法として「行動」「住まい」「衣服」の三つの観点からさまざまな工夫を呼びかけています=図=。加えて、汗などで失った水分をこまめに補給することも大切です。マニュアルなどによると、水分制限のない健康な人が1日に飲んで摂取すべき水分の量は1.2リットルが目安といいます。さらに、汗をかいたら、その分の補給も必要になります。

    上村さんは「のどが渇く前に水分をとりましょう。もし大量に汗をかいたら、水分に加えて塩分も補給しましょう」と呼びかけます。マニュアルは通常の水分補給にはお茶などを、大量に汗をかいた場合はスポーツ飲料や経口補水液など塩分濃度が0.1~0.2%程度の水分を勧めています。ビールなどのアルコール類は尿を増やし、水分の補給にはならないのでご注意を。

    首筋など冷却

    もしも、自分や周囲の人が「熱中症かもしれない」と気づいたときには―。

    上村さんは「すぐに涼しい場所に移動し、衣服を緩めて通気性を良くし、体を冷やしましょう。冷やすのは、太い血管が皮膚の表面近くにある首筋の両側、脇の下、脚の付け根が効果的。応答や意識がはっきりしていれば水分や塩分を補給しましょう」と助言します。

    周囲の人が見守っていることも大切です。それでも改善しない、口から水分が取れないときは医療機関へ。「意識がなかったり呼びかけや刺激への反応がおかしい場合は、すぐに救急車を呼んでください」と呼びかけています。

    取材・文/岩本進(北海道新聞編集委員)

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