コストコ商品で客層拡大図る 道南の中小スーパー お得感、目新しさで大手に対抗
2019/07/15コストコのパン類を品定めする買い物客=函館市内のキングストア堀川店 特大サイズの食品や日用品を割安に販売する米国系量販店「コストコ」の商品を呼び水に、客層を広げようとする道南の中小スーパーが増えている。函館市ではキングストア堀川店が昨年11月に、北斗市ではスーパーとうかい北斗店が今年6月にコストコ商品の取り扱いを開始。目新しさとお得感を売りにし、資本力を武器に安売りを仕掛ける大手チェーン店に対抗する。パン36個646円
10日午後2時。函館市電堀川町電停前のキングストア堀川店の一角で、20~30人の買い物客がお目当ての商品の到着を待っていた。
この日は2週間に1度のコストコ商品の入荷日。中でも人気なのが特大サイズのパン類だ。ロールパンは36個セットで646円。直径10センチほどの巨大なマフィンは12個で1058円。
店頭に並ぶと瞬く間に売れ、一部の商品は15分で品切れに。マフィンやベーグルを買った福田こずえさん(66)は「自宅は湯の川周辺で遠いが、コストコ目当てに買いに来るようになった。ご近所と分けて食べている」と上機嫌だった。
キングストア堀川店は、大手スーパーに客を奪われるなどして売り上げが長く低迷。2014年には、北斗市などで食品スーパーを運営する「とうかいフーズ」(北斗)の早川勝紀社長が経営を引き継いだ。
だが思い通りに顧客開拓は進まず、「高齢者を中心とした客の85%は徒歩圏内に住んでいる」(同社の早川浩司取締役)。来店が午前に集中し、午後は閑散とすることも珍しくない。
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札幌で仕入れ
だが「客を集めたくても大手スーパーのような資本力はなく、赤字覚悟のセール商品は作れない」(早川取締役)。経費を抑えるため、新聞に折り込むチラシなども自前で作っている。打開策を模索する中で注目したのが、08年に開業し、高い集客力を誇るコストコホールセール札幌倉庫店(札幌市清田区)だった。
コストコは消費者・事業者を問わずに商品を低価格で販売する一方、有料会員でないと利用できない仕組み。
しかも道内は札幌の1カ所だけで、函館周辺から買い物に出かけるのはハードルが高い。ならば札幌で買い付け、輸送費などの分を多少上乗せして売ってもお得感を損なわず、消費者に支持されると考えた。
早川取締役らは6月、以前から経営するスーパーとうかい北斗店でもコストコ商品の販売を始めた。入荷は2週間に1度で、加工食品やトイレットペーパーなどの日用品を含め、最大50品目を取り扱っている。
13年からコストコ商品を販売しているのが、森町のマルミ吉田商店。吉田守広社長が毎週買い付け、函館周辺や八雲町からの固定客もいる。売り上げの3割以上をコストコ商品が占めるという。吉田社長は「大手チェーン店と同じことをしていては生き残れないとの危機感は強い」と話す。
もっとも、移り気な消費者をいつまでもつなぎ留められるとは限らない。キングストアでは近く、SNS(会員制交流サイト)を通じて客とつながり、商品情報などを発信する新サービスを始める計画。ようやく増え始めた客をどう囲い込むか、正念場は続く。(伊藤正倫)
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