コロナワクチン、5~11歳も有効と判断 厚労省、接種「努力義務」に


厚生労働省が5歳から11歳への新型コロナウイルスのワクチン接種について、9月上旬にも予防接種法に基づく「努力義務」とする方針を決めたのは、子どもの感染が増える中、ワクチンの有効性を示す新たなデータを踏まえたものだ。ただ、慎重な保護者も多いとみられ、接種が加速するかは不透明だ。

8日の厚労省の専門家分科会で了承された。強制力はない。ワクチンは米ファイザー社製で、1回の接種量は12歳以上の3分の1。2回接種する。これまでは、知見不足などを理由に努力義務の適用から外して接種を推奨していた。

新たなデータは、5~11歳対象の調査でオミクロン株流行下でも2回目接種後、2カ月間は約80%の人に入院予防効果、約30%の人に感染予防効果があるとする海外での複数の研究結果。副反応については、現段階で安全性への懸念はみられないという。分科会委員からは「子どもの重症化例も出てきた」などとして、努力義務の適用に賛成する意見が多数を占めた。

厚労省によると、オミクロン株が主流となった第6波以降、10代以下の感染者が急増。7月の新規感染者は10歳未満と10代が全体の3割を占めた。日本小児科医会の峯真人理事(埼玉)は「子どもの多くは軽症とはいえ、熱性けいれんなどの報告もある。インフルエンザの流行も懸念されており、接種で少しでも重症化予防を」と訴える。

ただ、子どもへの接種を迷う親は少なくない。これまでに5~11歳で2回接種を済ませた人は約2割にとどまる。9歳と5歳の子どもを育てる札幌市北区の母親(30)は「周囲に接種した子は少なく、打つべきか相談もしにくい」と悩む。同市の円山ため小児科の多米淳院長は「ワクチン効果が新たに分かってきた。その上でどう判断するか、親子でじっくり話し合って」と呼び掛ける。(根岸寛子)

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