真夏のマスク、道内の学校苦慮 コロナ禍で非着用に抵抗感 外せる場面、動画で紹介

円山小の保健室前に掲示された「暑さレベル」。子どもたちに熱中症対策の徹底を促す策だ=11日、札幌市中央区(中村祐子撮影)

夏休みを前に道内各地の学校が、子どもたちの熱中症対策に苦慮している。水分補給などの対策は浸透しつつあるが、新型コロナウイルス禍でマスク着用が定着し、熱中症のリスクがあってもマスクを外すことに抵抗感がある子どもが多いためだ。北海道教育委員会は、登下校や部活動の際などマスクが必要ない場面を解説したオリジナル動画を公開。大人が率先して外すよう呼び掛けている。

「今日の暑さレベルは3」。札幌市中央区の円山小は環境省が熱中症対策のために発表する「暑さ指数」に基づき、危険度を5段階で玄関ホールや保健室前に掲示している。イラストを添えて低学年でも分かりやすくし、「大人を呼ぶ」など異変を感じた際の対処法も紹介している。

「暑さ」を掲示

5年の神島格(いたる)君(10)は、自宅で家族からも水分補給や帽子の着用を心がけるように言われているといい、「学校でこうしてイラストを見ると、気をつけようと思う」と話す。

村崎浩一教頭によると、登下校の際など、大人の目が行き届きにくい場での熱中症対策に特に気を使うという。「重症化の例はないが、頭痛など軽度の熱中症が疑われる症状を訴える児童は少なくない。学校だけで十分とは言えず、家庭と双方で対策を進める必要がある」と気を引き締める。

対策を難しくしているのが、コロナ禍でマスク着用が日常化したことだ。札幌市北区の英会話講師井筒陽子さん(43)は「小4の長女は暑苦しくても習慣でマスクを着けようとする。コロナ以上に熱中症が怖い」と話す。

道教委が通知

熱中症による救急搬送が全国で相次いだことなどを受け、道教委は5月、道内の各市町村教委や学校に対し、児童生徒に登下校などの際にマスクを外すことを指導するよう通知した。

帯広市教委は、市内の児童生徒の保護者にメールで通知について連絡。北見市の相内小の菊池晃教頭は「登下校時は互いの間隔を2メートル以上とったり、会話を控えたりして、マスクを外すことを勧めている」と話す。

道教委は熱中症対策のため、可能な場面ではマスクを外すよう訴えるオリジナル動画を7月上旬、YouTubeで公開する異例の対応をとった。担当者は、マスク脱着は任意だとした上で「リスクが高いときは大人が率先して外し、子どもにも声をかけて」と呼び掛ける。

文部科学省は2021年に出した対策の手引きで、涼しい服装や適切な水分補給などを指導するよう学校に求めた。札幌市教委によると、市内では登下校時にうちわや携帯扇風機の使用を認めたり、保冷剤を常備して下校時に生徒に持たせたりするなど、独自の対策を講じる中学校もある。

総務省消防庁の統計では、21年までの5年間に熱中症で救急搬送された道内の7歳以上18歳未満は計771人。今年は集計開始の4月25日から今月10日までに63人が搬送された。(久保耕平、逢坂哲平、田口博久)

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