江別市、産後ケアサービス拡充 コロナ禍で孤立懸念 助産師が育児アドバイス

自宅を訪問して育児のアドバイスをする助産師の平田由佳さん(右)

【江別】市は出産から間もない母親と赤ちゃんを支援する「産後ケア事業」の拡充を進めている。本年度からは助産師が母親宅を訪問し、育児をサポートする「訪問型」のサービスを開始。コロナ禍で母親の孤立などが指摘される中、利用者からは「安心して気軽に相談できる」などの声が上がる。

助産師が訪問、母親と赤ちゃんをサポート

「様子を見ながらミルクの量を調節して。お母さんも体を休めながらね」―。5月下旬、市内の佐藤和香さん(26)の自宅を江別市立病院の助産師が訪問した。5月に長男・律ちゃんを出産したばかりの佐藤さんは、助産師から約2時間、授乳や育児についてのアドバイスを受けた。「相談のために新生児を連れて病院に行くのはハードルが高い。自宅に来てもらえるのはありがたい」と話す。

市の産後ケア事業は2019年度に始まった。市内在住の生後6カ月未満の乳児と母親が対象で、家族から十分な支援が受けられなかったり、産後の育児不安がある人が利用できる。初年度は延べ24人だった利用者は20年度に43人、21年度は125人と増加傾向だ。

これまでは市内の助産院などに泊まりながら指導を受ける「宿泊型」と、助産院などに母子が出向く「日帰り型」のみだった。これに4月から、市内唯一の分娩(ぶんべん)施設がある江別市立病院の「訪問型」が加わった。

導入の背景には長引くコロナ禍の影響がある。感染防止のため里帰りでの出産ができなかったり、母親同士の交流機会が減少したりして、母親の孤立や産後うつの可能性が高まるとの危機感があった。訪問型を担当する助産師の平田由佳さんは「コロナ禍で電話中心の対応となり、限界を感じていた」と話す。

訪問型の利用者数は6月27日現在、延べ17件と徐々に広がりを見せる。同病院の黒木純子看護部長は「お母さんが楽しく育児できるよう支えるのが目的。今後、さらに周知したい」と話している。(土門寛治)

(2022年7月2日 北海道新聞朝刊掲載記事)

MEMO

現在、市の産後ケア事業は《1》宿泊型《2》日帰り型《3》訪問型の3種類。《1》3食付きで5千円(住民税非課税世帯などは1500円)、《2》1食付き1500円(同500円)、《3》食事無しで千円(500円)となっている。いずれも1回の出産につき利用日数の上限がある。市内では助産院Hugねっと(文京台14)が《1》と《2》、プリモウィメンズクリニック(元町21)が《2》のみ、市立病院(若草町6)は《3》のみを実施。利用は5日前までに各施設へ申し込む。各種問い合わせは市保健センター、電話011・385・8137へ。

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