• 自由で安全 木製手作り遊具 厚真、安平のこども園などで好評 「心身の成長につながれば」

    不規則に木を組んだ遊具で遊ぶ「こども園つみき」の園児たち
    【厚真、安平】厚真、安平両町内のいくつかの認定こども園などに、独特な形の木製遊具が設置されている。子どもたちに自由に遊ぶ余地を与えて発想力を育もうと、保育士が自ら設計し、手作りしている。コロナ禍で子どもの体力低下が懸念される中、外遊びの魅力を高める取り組みとして、保護者からも好評だ。

    「先生見て!登れるようになったよ!」。5月中旬、厚真町の「こども園つみき」の園庭で、ばらばらの太さの木を不規則に組んだ高さ2メートルの遊具で園児たちが遊んでいた。登るのは難しそうに見えるが、油谷諭園長は「体の使い方を覚えるとあっという間。不規則な分、子どもはちゃんと気をつけるので、大けがもなく、何より表情が生き生きしている」と語る。

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    同園も以前は、一般的な鉄製のブランコや滑り台を使っていたが、安全に遊ぶための「ルール」が決まり、保育士がつきっきりで「そこは登らないで」などと注意して遊びを制限せざるを得なかった。油谷園長はそんな保育環境に疑問を抱き、子どもが自由かつ安全に遊べる遊具を、2018年に作り始めた。

    全国の保育施設で遊具作りを指導する木村歩美さんら研究家や建築士を招き、保育士向けの勉強会を開催。安全性について助言を受けながら、子どもの成長段階に合うよう意見を出し合って設計した。保育士自ら工具を握って約10個の遊具を製作し、1年間で全遊具を置き換えた。

    遊具は毎日点検し、高さのある遊具の下の土は軟らかくするなど、けが防止に注意を払う。油谷園長は「自分の力を試そうと頑張る子どもたちを邪魔せず見守れるようになった」と語る。長男を通わせる中川貴之さん(39)も「野山で遊ぶ機会が少ない中、木を使って自分なりの遊びを見つける経験は良いこと」と歓迎する。

    遊具作りに励む「おいわけ子ども園」の保育士ら
    遊具作りに励む「おいわけ子ども園」の保育士ら

    安平町の「おいわけ子ども園」は17年の開園当初から、地域住民の協力を得ながら、手作りの遊具を設置してきた。子どもの反応を見て今も更新を続けているといい、山城義真(ぎしん)園長は「大人の想像と違う遊び方を見つける子どもたちにはいつも驚かされる。心身の成長につながれば」と話す。

    厚真町の「宮の森こども園」でも、木の柱の途中に「ネズミ返し」を付けて、あえて登るのを難しくした遊具などを設置。苫小牧市の「あけの保育園」でも遊具を手作りしている。

    札幌国際大の蔵満保幸学長(発育発達学)は「森で遊ばせるなど、既製遊具を使わない幼児教育は全国で広がりつつある。3歳から小学低学年にかけては脳の神経系が発達する大事な時期。子どもの体力低下が社会問題となる中、多種多様な体の動きができる遊具は効果的」と話している。

    保育環境研究家・木村さんに聞く
    遊び場「ドキドキワクワクを」

    魅力的な遊び場作りについて、全国100以上の保育施設で指導する保育環境研究家の木村歩美さん(56)が昨年12月、厚真町のこども園にも指導してきた縁で同町内に移住した。遊び場作りの意義を聞いた。

    「子どもも大人も幸せな保育環境をつくりたい」と語る木村歩美さん
    「子どもも大人も幸せな保育環境をつくりたい」と語る木村歩美さん

    ――活動のきっかけは。

    「静岡県清水市(現静岡市)の教育委員会に勤務していた時、ベトナムを訪れました。子どもは遊具も使わず、道端で踊ったり走ったりして表情は豊かでした。日本はテレビゲームが普及し始めたころ。大人が遊びを用意すると、子どもがコントロールされてしまう。それから勤務した保育園で遊具を手作りし始め、その後に個人事業主として活動を始めました」

    ――どんな遊び場づくりを提言していますか。

    「子どもが自分で遊びを創れる園庭整備を勧めています。例えば滑り台。一方通行で遊ぶことを前提に作られているので、保育士は『逆から上らないで』と注意します。でも、子どもは逆から上るのが面白い。そこで、滑る方でも安全に上ることができるよう、斜面に沿って幅広い板を並べた滑り台を作りました」

    ――今後の展望は。

    「厚真、安平両町のこども園は今、子どもも保育士も楽しそう。これからも保育士が子どものけがに注意して『ドキドキハラハラ』するのではなく、成長を楽しめるよう『ドキドキワクワク』する保育環境づくりを広めていきたいです」(木村みなみ)

    (2022年6月11日 北海道新聞朝刊掲載記事)

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