子育てママの就活支え2年 旭川の小池さんが相談所 面接同行、条件念入りに確認

初勤務を控えた古谷みどりさんの話に耳を傾ける小池さや香さん(右)。子どもを遊ばせたり、授乳しながら気軽に相談できる

旭川市内にある育児中の母親向けの仕事相談所「ママコンシェルジュ24」が開設から2年。5歳から高校2年生までの3人を子育てする小池さや香さん(39)が個人で運営している。育児と仕事の両立で悩んだ経験を糧に、保育所や仕事選びの相談のほか採用面接にも付き添い、これまでに28人を企業とマッチングさせた。同様の相談所は少なく母親たちの心強い存在になっている。

市内末広6の1にあるママコンシェルジュ24には、働きたくても子どもの預け先や勤務条件が合わずに悩み、一歩踏み出せない母親たちが訪れる。これまでに約200件に対応した。

11カ月の娘を育てる市内の古谷みどりさん(32)もその一人。妊娠中から職を探したが条件に合う求人が少なく、1月にママコンシェルジュへ。介護施設への就職を決め、今月から事務員として働いている。

古谷さんは「保育所選びや、生活状況を把握した上で仕事を探してくれた。簿記の資格を生かせる仕事に就けたのもうれしい」と笑顔で話した。

網走市出身の小池さんは夫の転勤で道内外を転々とし、育児をしながら理容師や販売員、飲食店パートなどさまざまな職を経験。「子育ての楽しさより、仕事と両立する大変さが上回ってしまった」と振り返る。

そこで「母親の働く環境を変えたい」とママコンシェルジュの開設を思いついた。職業安定法に基づく有料職業紹介事業の認可を得て、2020年3月に立ち上げにこぎ着けた。

相談者の勤務形態や保育所選び、数年先の家庭生活も見据えた上で最適な仕事を紹介する。勤務条件などで企業側とのミスマッチを防ぐため、面接や職場見学に同行して労働条件を念入りに確認している。

さらに、就職した後も人間関係や勤務シフトで不満はないか聞き取る。相談料や就職時の紹介手数料は無料。企業側から得た手数料などで運営している。

紹介する仕事は、市内や近郊町の介護事業所や医療機関、企業の事務職など188件。いずれも、子どもの体調不良などで急に休むことも可能な事業所だ。

小池さんのもとには「働きたいけど、子の預け先が見つからない」「仕事と保育所のどちらを先に決めるべきか」といった相談が多く寄せられる。他の職業紹介所から「保育所を見つけてから来て」と言われた母親もいる。

小池さんは「女性は夫や子どもとの関係が一つでも崩れると働けない。家庭の課題を把握した上で足りない部分をサポートすることが大事」。個人の活動には限界があり、「社会全体で解決する問題」と訴える。ママコンシェルジュ24の連絡先は(電)080・5085・4525。

札幌市は窓口開設

育児と就業の両面で母親を支援する自治体もある。札幌市は2018年、政令指定都市で初めて、求人と保育所などの情報を一緒に提供する窓口「ここシェルジュSAPPORO」をJR札幌駅近くに開設した。

民間のキャリアカウンセラーが保育所の空き状況を確認しながら相談に応じ、マザーズハローワークなどにつなぐ。昨年度の相談件数は電話を含めて1400件。毎年、相談者の半数ほどが職探しを始めたり、就職に結びついたりしている。

札幌市雇用労働課の佐々木薫課長は「子育てや家庭の悩みを一つ一つ解消することが就職へ踏み出すきっかけになる」と話す。

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